ホットケーキミックス

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第1話 ホットケーキミックス

ある日、一本の踏切がおり、


上から下へ


世界が分断されてしまった


再び電車を動かさないと



こんなどうしようもない日を僕は望んでいたのか?


大切な存在だと思い続けていた人が幻想だったなんて信じられるか?


「君が背負う必要はない」


「これが、私の宿命」


彼女はこの世界の人間ではないと言う


「僕は君と三年間歩んだ」


彼女の存在を肯定したい


「私は “そんなこと” 覚えていない」


残酷な言葉が僕を串刺しにする



彼女は“神なる存在”なのだそうだ


いわゆるカミサマというやつだ


彼女がこの世界にやってきた時に世界は二つに分断されてしまったらしい


そして、神様がいる“世界”と神様がいない”世界“の二つの”世界“が生まれた


ここで問題が起こった


カミサマがいないことで調和のとれない、僕の知らないもう一つの世界が崩壊寸前の状態になり、近いうちに爆発して無くなってしまうのだという



「じゃあ、君に聞きたい。なぜこの世界に来た?なぜ僕に出会った?なぜ僕と過ごす時間を選んだ?」


「君が好きだったから」


「答えになってない」


僕のことが好きだからこの世界にやって来た。そんなことはどこかのファンタジー小説で語られればいいことだ


ここは現実の世界だ


ファンタジーの世界じゃない



「私だって同じ日々の繰り返しは嫌になるよ」


「それが真実か」




私は世界の調和を保つ毎日に嫌気がさして、世界に自ら飛び込んだ。

世界が分裂してしまうなんて知らなかった。

私はカミサマだけど、すべてを知ってるわけじゃない。

カミサマだって不完全な存在なんだよ。


片方だけの世界では、どこかで必ずズレが生じる。

この世界だって、いずれあの世界と同じことが起こる。

私はもう一つの世界を元に戻すため、世界を再び1つに再構築する。

そのために君にサヨナラを伝えた



「俺の三年間に意味はあったのか?」


彼女に問う


自分の存在を


だけど、一番聞きたくない言葉が僕を再び突き刺す


「そろそろ行くね」


待て 


待て


待ってくれ  


俺はお前のことが好きだ


だから


行かないでくれよ 


行かないでくれよ




なあ


・・・たのむよ。


は!


気づいたら彼女は目の前にいなかった


この世界から消えたんだ


いなくなったんだ


僕の前から


僕には


彼女を見ることはもうできない


一生


そんな気がしていた


涙で覆われた顔では


彼女すら


目の前の風景でさえ見えない


涙しか見えない

 

 

すべてはここから始まるのだろうか?






ある日、彼女が目の前に現れた


もう会えないと思っていた


彼女を抱きしめる


残りの人生を彼女と生きていくと決意した




彼女の耳から、今までに聞いたことのない爆発音が聞こえた。

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