俺も…

死んでしまった…

俺の希望が…

今村が…

この腐った学校に革命を起こせる

唯一の人物

それが今 軍人ビエルによって殺された


どれほど考えていただろう

冷たい体育館に三角座りで

お尻の痛さすらも忘れるほど

俺は 絶望に苛まれていた…

俺はどうするべきだ?

ずっとこのまま学校の方針に従って行くしかないのか?

殺すのに躊躇しない校長

明らかに頭がおかしい

それでも、逆らえない

俺は弱い…

意思も 武術も 何一つ

人に誇れる強さを持ち合わせていない…

所詮 弱肉強食の世界

弱い奴は弱いまま死んでいく

強い奴だって

それより強い奴に殺されて終わる

それがこの学校の方針であり

この世界の理

逆らうには力以外何も必要ない


度胸も根性も 何も持たず生まれてきた者に

生きている意味は無い…


唯一できることは

祈る 願う 僻む 妬む

何も出来ない自分をひたすら責める

人として最低の感情を抱き続ける


果たしてそれだけだろうか?

人の死は無駄ではない

人の命は尊い

それが生きている人に

もたらすものがあるのではないか…?

ある時には人の命を踏み台にして

生きなければ行けないこの世界で


流れゆく時の流れの中で


人間 人としての宿命を


命は大切だ…


それだけ覚えていれば人は人でいられる

それを忘れたならば

そいつは人間じゃない

悪魔だ…と


校長は悪魔だ…

目の前にいるのは悪魔だ…

ならば殺すのに何の壁もない

躊躇するものもない

自分を止めるべき天使でさえ

進め と言っている


ここで殺さなきゃいけない

命の大切さは命を持って知ると…

一番伝えなければいけない

悪魔を根絶しなければいけない



「殺す…」

そう口にして俺は立ち上がる


生徒 教師 全員が俺を見る

だが、俺はビエルを見ている

(まずはビエルからだ…)


ステージに上がる


「ビエルを殺します」

俺は校長に告げる

校長は不服そうに応える

「なんだ?このガキは?

さっきのガキに感化されて

俺なら行けるという勘違いに頭を支配されたか?」

「頭を支配されてるのはてめぇだ!!

いい加減身を覚ませよ老害

お前がやっている事は間違っている

人を殺すのが楽しいか?

目の前で自らの手で殺すのは楽しいのか?」


自分の表情は自分ではわからない

でも、周りの生徒の顔を見る限り

相当怖い顔をしているのが分かる

「あぁそうだな…人を殺すのは楽しい

血が飛び それが物言わぬ肉塊になる様

それはこの世のどの娯楽よりも笑いがでる

人の命を奪う

これ程ない快楽だよ

君の幼馴染を殺した時も…

今村を殺した時も…

言いようのない込み上げてくるものが

わしを包む…

それがたまらない!」

校長は手を広げ 豪語する

「ワシは悪魔なんだよ…」

その表情はどこか悲しそうだった

「最初は、抵抗があった…

命を奪うことに…

国から 殺めた時に罰せられない という

特別な法に最初は戸惑ったさ…

でも、殺せば殺すほど

背徳感は麻痺してくる

自分でも怖かった が

慣れというのは恐ろしいものだと

身をもって感じたよ…

人を殺すのに躊躇いが無くなるのは

早かった…」

(こいつは…校長は元からおかしかった訳じゃない…自分でも殺すことはダメだと分かっていたんだ…)

「段々 人を殺す度に 楽しさが出てきてしまった…?」

俺の質問に校長は頷く…

もう分からない


誰が悪いのか


幼馴染の命を奪った奴なのに…

何だか許そうとする自分がいる


分からない分からない分からない





「まずはビエルを殺ります」

俺は静かに…

囁くように…

校長に言う

「好きにしろ…ワシは邪魔をしない」


合意は得た…

まずは今村の敵をとる

それだけだ



俺は構える

テレビで見たものをそのままに

見よう見まねで


「待て、お前には無理だ

さっきの今村は武道経験があったが

お前にはないだろう?

そんな奴とビエルを戦わせるのは

命を預かる俺が認めん」


俺の構えを解かせたのは

体育教師の近藤だった


「あんたは おかしいと思わないのかよ?

命を奪ったそこの軍人が

平然とたっているのを

そいつは…殺人犯なんだぜ…?」


「…」


「どけよ…」


「無理だ…君には勝てない」


「どけよ!うるせぇな!」

痺れを切らした俺は近藤に飛びかかる

近藤は俺の手を掴みを捻り 投げ飛ばした

「この程度も裁けないようじゃ

ビエルに勝つなんて無理だ…

残念だが諦めろ…」



呆気なく投げられた

負けた


俺は冷めた


「はい…」



「分かればいい…

俺も人を殺す校長先生の方針は

正しいとは思わない

だがな…」



近藤は俯く




「命を奪われた者同士

志は同じ

復讐したいと思っている

お前の幼馴染と共に…」

そう言って彼は服を脱ぎ

分厚い胸板を見せる


俺は息を呑んだ…


近藤の胸は無数の傷跡が刻まれており

痛々しく物語る


「俺は 未来の兄だ…」



「今は…我慢してくれ…

必ず 校長を殺す手伝いをしよう…

未来の弔いを一緒にさせてくれ…」


近藤は俯いたまま

目に涙を浮かべる













「未来は…大切な妹だ…」


























はい どうでしたか?

急展開でしたでしょうか…?

少し物足りないですよね…





また語りましょう


命について




あなたには

「絶対に成し遂げたいこと」

がありますか?

命よりも優先的にすることです


命を犠牲にしてまでするべきことが

あなたにはありますか…?





なんか厨二病みたいですね…



生きていると実際あるものなのでしょうかね


自分の命よりも他人の命を大切にする人間を

どう思いますか…?


馬鹿だと思いますか?

素晴らしい人格の持ち主だと思いますか?


それぞれでしょう

自分の命を大切にしなきゃいけない

世の中で他人の命を大切にするなんて

はずれてますよね

浮いてますよね


でも、その人の意志に干渉する必要は

あなたにありますか?



「その人が良ければそれでいい」

という考え方を持つと

自分を縛るプライドからも解放されます


スッキリしますよ?






最後に


この話のタイトル

「無限可能性虚無秘世界 Genesis 」

の呼び方を教えておきましょう



無限の可能性と虚無を秘めた世界

です


無限の可能性



何を意味するのでしょうか…




人は変わり続けるものです







そう 無限にね…




次回もお会いできると

良いですね…


では 次のお話で…










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無限可能性虚無秘世界 Genesis ぱーふぇくと @perfect1234

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