家族写真

@k9k

第1話

 僕は妻と息子が1人、 娘1人の4人家族で暮らしていた。 2日ぐらい前僕は中古だが家を買って、 リフォームをした。 夫として、なんだか胸を張れる気がした。 最近は仕事や家の事で休みが取れずにいた。 ということで休みをもらい体をやすめるとするか。  「お父さんキャッチボールしよ!」 息子と外でキャッチボールの相手をして、 「正人、 まっすぐ投げられないかなぁー」 まぁ様子を見る限りセンスがあるとは言えない。 息子の相手をしたあとは、 「パパー、 あの人形買って?」 「うん、 パパあの人形買っちゃう」 「やったー」

娘の欲しがる物を買ってあげたら妻に 「またこんな高いの買って、 あなたの収入だけじゃ足りないって言ってるのに」 妻の頼みよりも娘の頼みには負けてしまうのだ。 そうやって、 僕の休日は終わった。  そして次の日は仕事だ。 僕はコンビニの店長で常に自分のコンビニにいて休みなんてもんはない。 とても大変な仕事だ。 なぜ店長になってしまったかと言うと、 僕が高校生の時にこのコンビニでバイトを始め大学卒業して、 就職もせずバイトをやり続けていた。 するとその時の店長が 「キミ、 ナガイネ」 「な、 何がですか?」 そうその時の店長が中国人男性で今だになぜこの人が店長だったのかも分からない。 「キミ ココノ テンチョウ ヤッテミナイ?」 「あ、 あの僕は親に休みがある仕事につきなさいと」 「チッ」 「へ?」 「ソレデ ハイ カ yes ドッチナノ」 「それは…ってハイしかないじゃないですか」 「ハイ デ イイノネ」 「ちょっ、ちょっと待って」 「ハイ シュウショク テツヅキ ヨロシクネ」 「ヨロシクネじゃないでしょ」 それからあっという間に店長にさせられた。 10年以上が経ち、 慣れたように仕事する私がいた。

 ある日、 いつものように仕事を終え家に帰るとリビングのテーブルの上に写真があった。 その写真は僕が写った写真だった。 その時は、 妻が私の写真を拾いテーブルの上に置いたと思っていた。 しかし、 見に覚えがない写真だった。 見に覚えがないと言ってもこの写真に写る僕はしっかりカメラ目線で写っていた。 おまけに決めポーズまで、 記念写真?やはり見に覚えがない。 そして、 この写真に写る周りの風景。 こんな場所に行ったことあるか?どんな風景だったかと言うと、 私は薄暗い場所に立っていて、 足下にはゴミが散乱していて廃墟のような場所にも見える。 私は怖がりだ。 こんな場所に行ったなら忘れるはずがない。 もしかしたらあまりの恐怖で記憶が?いや待てよ?ここに写る僕は笑ってる。 もしかしたら、 記憶が無くなるほどお酒に酔っていたか?もしかして、 あいつら(友達)今頃になってこんな昔の写真を。 まだ人をからかって遊んでんのか?暇人だなぁ。 そういやあいつら何してんのかな。 若かったあいつらも、 髭やシワだらけのおっさん…?待て、 ここに写る僕は若い頃の僕じゃない。 洗面所に行って、自分の顔を鏡でよく見た。 そして、 若い頃の写真を取りだし見比べた。 やはり、 若くない。 そしてもう一度見た。 よーく見た。 そうしていく内に僕は、 「二重で痩せてて、 あれ?顔小さくない?俺イケメンじゃない?」 悲しくなった。 歳は取りたくないものだ。 「何自分の顔見て酔ってんだよ!」 僕はビクッとした。 妻だった。 鏡に写る僕の背後にいて、 幽霊かと思い驚き飛び上がった。 「なんだよ。 春子か」 「どんだけびっくりしてんのよ。 本当に怖がりね」 「まだ寝てなかったのか」 「何してんの?」 「そうだ、 この写真、 どうしたんだ?」

 「そんなの知らないわよ。 あれ?あなたこんな場所に行けるの?」 「行けるわけないだろ。 春子本当に知らないのか?リビングのテーブルに置いてあったんだけど?」 「私じゃないわ」 「じゃあ一体誰が?」 「正人?それとも花?」 「それだったら春子の元に渡すだろ」 「それもそうね」 「俺はてっきり、俺の友達が送りつけてきたのだと思って、それで春子がテーブルの上においてくれたのだと」 「えっ?何か不吉な予兆とか?」 「止めてくれよ。 気味悪い」 「冗談よ。 ただ貴方が忘れてるだけでしょ」 「いや、 この写真撮った覚えがないし、 テーブルの上に置いた覚えもないのに」 「だから貴方がただ忘れてるだけでしょ。 何ボケてるのよ」 「いやー、 そうかなー」 「そうよ」 その日は、 ただの思い過ごしだと思った。 

 数日後、 僕は大学時代の友人と近くのファミレスで会うことにした。 10年ぶりに合う友人はどう変わっているのだろうか?僕みたいに老けているだろう。 孝は運動神経が良くて、 矢野はコミュ力が高くて面白かったっけ。 そして、 大田は小学校からの大の仲良し、 今はどうなってるかなー。 どう変わってるかなー。 「桝谷?」 とんでもなく変わっていた。 違う意味で。 

 孝は立派に横に伸びていた。 「いやー久しぶり、 桝谷。 変わってて分からなかったよ」 うんそれはこっちの台詞だ。 どうしたんだ。 昔の面影がないぞ! 歩くのがやっとじゃねぇか。 「やっ、 やあ、 ひ、 ひ、 久しぶり」 次はどうした。 マジお前誰だ!矢野か!?矢野なのか!? 「やあ、 矢野か?緊張してんのか?」 「ま、 まあ すっす、す すっ すっすー」 怖えーよ! ぶっ壊れた人形みたいだぞ! 中学生の告白じゃねぇんだから。 「少し緊張しっ しっ、てる。 ハァハァ。 死ぬかと思った(小声)」 人としゃべるだけで死ぬかと思ったのか!お前に何があったんだ! みんなどうしちまったんだ。 本当に昔のあいつらなのか?大田は!?あいつだけは! 「桝谷か?矢野?それに孝。 懐かしいなー」 俺は即座に振り向いた。 モヒカンにカラコン、 鼻にピアスそれに手にはメリケンサック。 お前もかーーーーーーーい! 「お、 大田か?久しぶりだな。 かなり変わったな」 「ん?そうか?それより飯食おうぜ」 「おっ、 おう」

みんなはおじさんに変わってるって思ったが別人に変わっちまった。 一体何があったんだこいつらに。 「急に桝谷から呼び出すなんてどうしたんだ?」 「俺らが恋しくなったか?おい笑」 「そんなことねぇよ」 昔のお前らが恋しいよ。 そして、 話の本題に入った。 「お前らに話があって、 この写真お前ら何か知らないか?」 「この写真がどうしたんだ?」 「おかしいとは思わないのか?」 「いやどこがおかしいって、 お前」 その瞬間耳を疑った。 「お前肝試しとか好きだったろ?」 「そうだな。 みんなが怖がって行かない所も桝谷だけは、 行けたもんな笑」 「桝谷まだそういう事やってんのか?」 嘘だろ!?僕はそんなこと出来ない。 僕の記憶では、 あまりの怖がりでみんなに笑われた。 な、 なのにどうして?僕がおかしくなったのか? 「おい桝谷どうした?」

「 「何かあったのか?ぼっーとして」 「そうだぞ、 お前最初あった時からおかしいぞ?」 おかしいのはお前らだ。 「あのさあ俺は怖い所大丈夫だったっけ?俺怖い所無理なはずなんだけど」 「何をおかしな事言ってんだ」 「それにお前らも。孝は何があったのかは聞けないけど」 「聞けないって何?えっ?ちょっと待って、 えっ?待ってって。 おいちょい待てよ(キムタク風)」 「矢野、 お前は昔コミュ力が高かった。 そして、 大田昔そんなんじゃなかったぞ?」 「えっ?昔っから俺はこんなんで、 矢野は人間不信。 孝は…こんなんだ」 「こんなんって何?ねぇデブ馬鹿にしたのか。 そうなのか」 「黙れデブ」 「デブっつた。 親にもデブって言われたことなのに」 「やっぱりおかしい。 まるで正反対だ」 「おい止めろよ。 何の冗談だ」 「冗談なんかじゃない」 僕は何となくこの写真の意味に気づき始めた。 写真に写る僕は正反対。 そして、 昔の友人も正反対に変わってしまった。 そうだ! 大田との小、 中、 高、 大の思い出はどう変わったのだろう?

 記憶では小学校の時から仲が良くて、 中、 高、 大は何事もなかった。 二人で気配を消すゲームでもしていた。 そのゲームでどれだけ気配が消せてるかクラスメイトに聞いてみたりもした。 「大田と桝谷?誰そいつ」 「カァカァカァ」 悲しくなった。 他の人たちは僕らの事を避けていった。 馬鹿にされもしなかった。   

 

 どう変わってるのだろう。 聞いてみた。  

 小学生の時、 二人はとても仲が悪く、 僕と大田との二大巨頭ができてたそうだ。 中学生は、 毎日のようにケンカ、 ケンカ、ケンカ。 気づいたらダチになってたそうだ。 高校生では、 二人で隣の高校を潰しに行っては察(警察)にお世話になっていたらしい。 その後二人は互いに負けじと勉学に励んだらしく、 そして一緒に大学に行き。 今の友人と仲良くなった。 結果、 今にいたる。 うん俺の人生破天荒に変わってる。 

 

 俺はショックを受けた。 この写真の仕業なのか。 それとも僕がおかしいだけなのか?あいつらには、 頭がイカれてると思われた。 ( 「お前、 病院で見てもらえよ」 その体型で言われたくないがな。 「し、 ししっしっし」 「いやまだ死なないよ」 「し、 心配だなー」 そっちかー! ウザくね。 あの顔ウザくね。 何ドヤッテんだよ! お前が一番心配だよ! 「昔のお前に戻るまで俺はあの丘で待ってるぞ!」 どこの丘だよ! 一生そこで待ってろよ。 )くっそー頭が本当におかしくなりそうだ。 もし家に帰って、 家族が…いやいやもう変なことは考えるな。 静かにドアを開けた。  

 「ただいま」 「お帰りー」 妻はテレビを見ていた。 息子、 娘はおもちゃや人形で遊んでいた。 それを見た時僕はなぜか安心していた。 「夕飯は?いるの?」 「いや、 食べてきたから大丈夫」 「そう」 「春子聞いてくれよ」 と今日の出来事を話そうとしたその時、 何かを踏んだ気がした。 そう思いしたを見た。 僕は写真を踏んでいた。 ん?妙だな。 なんでこんな所に写真が?その写真を拾うとそこには妻が写っていた。 妻は高校の制服を着ていた。 そこは崖で後ろには海も写っていた。 そして、 泣いていた。 「おい、 春子の写真があるぞ?それも春子が制服を着てる」 「え?私?嘘ー」 「いや本当だって、 泣いてる写真。 ほら」 その写真を春子に渡すと 「え?私こんな写真撮った覚えがないけど、 この年でこんな服装しないわよ恥ずかしい」 「けど、 春子が写ってるし」 「なんか恥ずかしいから捨ててよ」 「んー」 僕は写真を捨てようとゴミ箱に向かったが何かが引っ掛かる。 この写真俺の時と似てるような。 僕は写真を持っていることにした。  

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