第3話
私は大学に入学してから急になんらかの正義感に苛まれるようになった。
中学と高校ではそれなりにひっそり暮らしてきたのだ。まぁ楽しく。
なんだか大学ではこんなこと自分でいうのもあれだが、前よりは日の目を浴びている。
よく、悲しい人がいなくなればいいのにと思う。悲しいと思っていることがわかったんだったら手を差し伸べろなんて綺麗事は言わないが、一言。なにか言えばいいのに。
人は人の為に。それが原動力なのだと思う。
まぁ、そう上手くは行かないわな。
まぁね、ちょ、まぁね、話変えますけど。
覚えているだろうか、前話の事を。
そう、初デートを。取り付けたのである!
(なんとか)
昔はカップルを見ると苛立ちという名の羨ましさしか出てこなかったのだが、もう今は違う。自分がこの立場なのである! ふふ。
昨日は必死に服を選んだ。
迷ったが、楽しかった。率直に。
10年来の親友に電話した。
「おめでとう。」 だそうだ。
うわぁぁぁぁぁ!し、幸せーーー!
私今幸せ!!!!
今日は水族館デートなのである。定番だが。
初めては定番でいいのである。
新宿御苑でしっぽりおさんぽデートなんて早いのだ。始めて行ったチキン南蛮屋さんでチキン南蛮そのままを頼まず、明太タルタルソースつきを頼んでしまうことと同じだ。
早いのだ。じっくり、段階を踏んでいかなければならない。
そうだ、そして先輩が几帳面に5分前についている。それが最高のフルコースである。
だがいきなり、前菜を飛び越してメインディッシュが出てきてしまった。
彼が、来ない。
もう20分待っている。連絡もない。
え、ええ〜 何故だ。先輩がどんな人間かはわかっている。
高校入学当時、初めての部活で何分前に付けばいいのかわからなくて2時間前についていたというあの先輩が!?ちなみに2時間まえとは朝5時である。
あ、ありえない。何でだ。
せ、先輩だってあんなにノリノリだったではないか!飽きたのか!?私に!!
早すぎるだろう!やはり私なんかは幸せにはなれないのか......。
へこむぜ。
トゥトゥーと携帯メッセージが届く。
せ、先輩だ!!どうしたんだろう!
「ごめんへ」
「動けなきも」
うん誤字多めかわいい。
私はこのシチュエーションをよく知っている。
これは、そう!お決まりの!
彼氏がデート当日に風邪ひいちゃったやつだ!まぁいい、水族館は諦めるがこれも一大イベント!!今すぐ行くしかない!!
さぁ!先輩のお家へレッツゴーである!
なんか楽しんじゃっているな。
明太タルタルではなく異例の大根おろしタルタルになってしまったが、悪くない。
ここが先輩の家...。
ごくごく平凡なアパート、そこがgood!!
いけない、私は看病をしに来た身よ。
途中で色々買ってきたし....。
いざ、行かん!!
ピンポーン
....
おっ!?
「はぁ~い」
先輩だ!!来るぞ来るぞ、大丈夫かな。
ガチャッ
「どちら様?」
出てきたよ
先輩ではなく
お母さま
「お、おおお母さまでいらっしゃいますか」
「あなたは?息子の知りあい?」
ここはしっかり私が先輩の彼女である事を伝えなければ!
「わ、私息子様とお、おおお付き合いさせてもらっている大工原とも、もも申します」
.....
「あっらぁ〜!!あなたが!
よろしくねぇっ!さぁさっどうぞ入って入って♪」
あ、なんか第一関門突破したっぽいな。
よしよし。お邪魔しまーす。
うわぁ、き、き、き、き、きききき
汚ぇ。
結構汚いんだなぁ、まぁそこもかわいいってことにしとこうか。
「大工原さぁん??」
!!先輩!!
「先輩!大丈夫ですか!?心配したんですよ!!」
「ごめんねぇ、なんか気合い入りすぎちゃったかな。ははっ」
先輩。先輩。先輩だ。
顔を赤らめてゲホゲホ咳をしている。
熱が高そうだ。
先輩は私の手を握った。
どきん。
「僕が元気になったら、どこか出かけようね。せっかくの初デートだったのに、
あーあ、カッコわるぅ」
「先輩は、いつだってベリベリキュートです!」
ぁ
「え。」
「ああ!ごめんなさい!その!いつでも、
素敵、です。」
「あはははっ!大工原さんって面白いね。
でも僕はかっこいいのほうが、嬉しい。」
いいムードだけど言うね。ゴチです。
「ねぇ下の名前でよんでいい?未央って。」
「呼んでください。こ、こうさん」
「ははっ、うん。ありがとう。」
「まずは元気になってくださいね。待ってますから。いつまでも。」
「うん。」
先輩は寝てしまった。
寝顔が可愛いからよし。
わたしも帰ろうかな。
「未央さーんっ!ていうのねぇ。」
お、お母さまや。
「お、お邪魔しました!!」
「息子の名前ねぇ、こうじゃなくてひろだから。」
紘
恋は険しく長いのである。
まぁわたくしごとなのですが。 とんちゃま @Mitemow
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。まぁわたくしごとなのですが。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます