第2話
ある日私の家に父が昔親代わりに育てていた人が来た。
私はその頃内気で、恥ずかしくて隠れていたけど、その人は笑顔で自己紹介してくれた。
「あっ、碧です…よ、よろしくお願いします。」
自己紹介すると、年が一つ上と分かった私は彼のことを"お兄さん"
と呼ぶことにした。私にとって、仲の良い、もう一人の兄ができて嬉しかった。
私は当時学校には馴染めてなく、楽しくなかった、でもお兄さんの話はとっても面白かった。
外国の話とか戦争の話とか色々。
当時の私はなんのことだかわからなかったけどその話全てが未来起こるであろうことを予知していたなんて気づいた頃には16歳になっていた。
その頃お兄さんが家に来る頻度が減った。父曰く任務があるらしい。
私はとても寂しくて寂しくて仕方がなかった。
ある日寂しさからお兄さんの名前をノートにたくさん書いた。
そして気がついた。
私はお兄さんが本気で好きなんだと…
それから私はお兄さんが家に来るたびお洒落な服を着たり抱きついてみたりとアピールするようになった。
お兄さんは笑顔で相手してくれたけど、どれだけアピールしても対応は今まで通り、妹としてしかみられていない、そう思うと、とても苦しかった。
会えなくなるたび心が痛くて仕方なかった。この想いが爆発しそうになった時、お兄さんから突然
「碧、俺…碧のこと好きだ。」
私は死ぬほど喜んだ。まさかお兄さんも好きでいてくれたなんて。
抱きついて大泣きした。
そしてそのまま寝室で二人で朝まで過ごした。
そんなある日、任務帰りなのだろうか、お兄さんらしき人が女の人と歩いてるのを見た。
私はお兄さんと並んでる女の人を見ると苦しくて憎くて殺してやりたいと思い、話しかけようと考えた。
「お兄さ…」
その時お兄さんは突然銃を出しその女の人に突きつけた
「皆聞け、この女は社会主義を持ち国への叛逆を考えている。
皆の幸せを奪うものだ。今ここで処刑する。」
私もその女の人も近くにいた人も全員びっくりした。
そして口々に
「それだけで何も殺さなくても…」
「あいつは鬼なんじゃないか?」
「あいつは悪魔の狐だ。悪魔なんだよ!」
私はお兄さんがなぜこんなことをしたのか理解できなかった…
怖くて話しかけることもできなかった。
お兄さんは殺した女の人を担ぎ、どこか闇に消えていった。
家に帰った後、私の本当の兄からお兄さんいや、狐面の人のことを聞いた。
「彼ら面をした奴らは軍の諜報部で、主に暗殺などをする奴らだよ。民間人から同じ軍人そして貴族や国会議員までもが彼らの殺害対象さ」
狐面の人は"狐火"というコードネームらしい、そして人殺しに関して一番冷徹で容赦がない男だそうだ…
私はそんな彼をお兄さんとはとても思えなかった。
そんなお兄さんがそのうち死んでしまうかもしれないと思いが心に浮かび、胸が痛くなった、苦しかった。嫌だった。大好き、愛してる…
お兄さんにいつかいなくなるかどうかを聞いてみたことがある。
「俺は人がみんな幸せになれる世界が来るまで死ねないなぁ」
人がみんな幸せな世界なんて想像つかない、けどお兄さんが言ってるから必ずそんな世界が来るって信じることにした。
燃え尽きぬ愛 ぽんぽん @ponpon1028
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