燃え尽きぬ愛

ぽんぽん

第1話

これはとある昔の事件を知ったことで

僕の生活、主に恋愛が狂い出した話…





〜1910〜

「この男と女を連れ出せ、こいつらは社会主義者で天皇の暗殺を企んでいるぞ!」


外から怒号が聞こえる。

僕が憲兵に「父と母は社会主義者です」と告げ口したからだろう。

父や母は暗殺を企てるとまではいかないが、れっきとした社会主義者だ。

僕はおかしいのだろう父や母が捕まった所で何も感じないしどうだっていい

なぜって、僕は大人が嫌いだ。博打や賄賂に浮気など行動が下衆でしかない。

だが、周りの大人達は「まだ小さいのに可哀想…」と同情の目を向ける…

最悪だ…鬱陶しい…そう思った時だった


「こいつ親がいないなら軍内部で育てればとても有意義な兵士になるんじゃないのか?

だったら軍で保護しようじゃないか。」


僕はそこで軍人に拾われた。

その軍人は父親の代わりになるといい、勉強もたくさん教わることになった。

そのついでに父と母が大逆事件で処刑されたことも聞いた。

だだ何一つ興味は湧かなかったが……


その時の僕はただ早く成長し、今の大人の怠惰さを証明したいだけだった。


そんな中、僕に運命の出会いとも言えるものがあった。

僕を拾ってくれた軍人には娘がいた。

とても可憐で花のような子だった

その子がこれから先、"永遠"に添い遂げる人であることは、この時の僕はまだ知る由もなかった。


その子は名前を碧と言った。

最初は人見知りで話すこともなかった。

だがひょっとしたことで、打ち解け仲良くなり自分のことを兄と慕うようになり、僕も妹のように可愛がった。


そうしてこの軍人のおかげもあってか

16歳になるころ僕は一人の軍人として仕事をすることとなった。

僕は諜報部と言い、主にスパイのような隠密的な行動や、情報の抹殺をする部に所属した。

そこでは上司から言われた、

「天皇や国に逆らうような奴は同僚だろうと撃て」という言葉通り動いた。


それから僕は殺し続けた。

仲の良かった同僚、上司、社会主義者、犯罪者、住民など少しでも叛逆の意思や、疑いがあれば撃った、殺した。


「心が下衆な大人を見返す、大人の怠惰さを証明する」


そんな考えをを忘れるぐらい殺した。

その姿はもう人ではなく鬼のようだった

そんな自分に付いた忌み名は同僚殺し。


そんな自分を唯一受け入れてくれるのが碧だった。


「大丈夫、世界の全てが敵になっても私だけは"永遠"に貴方の味方よ」


その言葉だけが唯一自分の救いだった。

碧だけが自分の癒しだった…


そして21歳になるころ僕は碧と結婚するため、碧のお兄さんに話をした。

当初、反対された。

当たり前だ、同僚殺しの忌み名を持つ自分と結婚すると家柄に汚点が付いてしまうからだ

だが碧は無理やり結婚を押し切った。


「結婚ができないのならここで兄さんと貴方を殺して私も死にます」

この言葉に衝撃を受けた兄は受け入れざるを得なかった…


そして僕と碧は結ばれることになったのだ…

太く、かたく、そして永い赤い糸で…




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