化石が地層にいたるまで

化石になりたい「君」と「君」を束縛したい「私」の恋愛小説。

化石になれば不変だという。
ならば私は学者として君の化石に学名をつけてあげよう。

「君」の奇異な考えに最初は目が行きがちですが、読み進めるうちに「私」が「君」のことをいかに束縛し、独占したいか、という暗い欲が理知的で硬質な筆致で紡がれ、あわい淫靡さで展開していきます。
さなぎ、標本、琥珀の中の昆虫。
最終話の「地層」という比喩が素晴らしい。

君は私の、私だけの化石だ。