爵位とお城

 とても威圧的な挨拶をした両陛下はその後ラグナ自らが応接室へ案内した。もちろん両脇にランドゥーセンとニヒル、後ろにはランベルトをしたがえてだ。応接室へは両陛下と竜次、ランドゥーセン、アカネ、サクラのみが入り他の皆は隣の部屋で待つことになった。


 「では、改めて竜次の件についてですが。私としては別に魔術士団を離れても問題はないのです。遅かれ早かれこうなることは予想していました」

 「では彼がゆくゆくはサクラと結婚することは問題ないと」

 「はい、しかし彼は強すぎる。彼はおそらく将来的にはこの世界を敵に回しても1人で圧倒できるだけの力を手に入れるだろうそして・・・」

 「そして今のこの対立に終止符をうつことが出来ると」


 そうラグナの話を遮ってノイルが言ったが、ラグナは嫌な顔をせず、二人ともニヤリと笑った。


 「そうだ、そのとき彼が一国のみに所属しているのは好ましくない。つまりだ、竜次が貴国の姫君と結婚したとき。我々にはどんな得があるのかな」

 「そうですな、ではそのときはレヴィナス帝国に住んで我国の大使になるというのはどうですかな」

 「確かにそれなら、言い方が悪いようだが貴国へ人質をとれることになるな」

 「もしダメなら、この対立が彼の手で終息した場合彼に王となってもらうのなんてどうですかな、そうすれば彼は同盟を組んでくれるでしょう」


 そう言って二人は竜次の方をみた。


 「確かにもしそんなことになったから同盟は結びますが、私が王だなんてあり得ないですよ」

 「しうだな、ではそういうことで行こう。彼がこの対立を終息することを願うよ」


 そう言って話が終わるとこのまま両陛下は話をするというので俺達は全員外へ出た。するとサクラが話しかけてきた。


 「間宮様、少し二人でお話は出来ませんか」

 「いいですよ。でもサクラ様私に様付けと敬語はやめてください。私はそんなに偉くはありませんので」

 「ではなんと呼べばいいのですか」

 「何でもいいですよ。様付け以外なら」

 「では竜次さん、とこれからは呼びますね。でも竜次さんも私な様付けするのと敬語はやめてください。距離を感じるので嫌です」

 「ですがそれは・・・」

 「ですがではありません!」


 怒られてしまった。そもそも立場が違うのだが、確かに惚れた相手に敬語を使われるのは嫌だ。竜次はサクラの気迫にやられて諦めることにした。


 「はいサクラ、これでいいか」

 「はい!」


 そう言うとサクラは嬉しくて頬が紅くなり、声も心なしか軽くなっている気がした。


 「竜次さん、二人っきりでお話しがしたいです」

 「さすがに二人だけは不味いだろ」

 「いいんですよ」


 またもサクラの語気におされる竜次。


 「じゃあ俺がこの国で使ってた工房に行くか」

 「はい!」


 サクラはそう言うと満面の笑みで俺についてきた。そして無駄に広い工房の一室のテラスへ出て、とりあえず蔵から自作の急須と湯飲みを出した。そしてお茶を入れて渡す。


 「本当竜次さんは何でも出来るのですね」

 「別に何でもできるわけではないさ」

 「これだけできたらなんでも出来るといっても過言ではありませんよ。なぜ竜次さんはそんなにできるのですか」


 竜次は少し躊躇ってしまった。サクラに話していいのかと。この力を話す上では元の世界について話さなければならない。もしかしたら怖がられてしまうのではないか。もう話せなくなるのではないか。そう無意識のうちに思ってしまったのだ。


 「俺は元々この世界の人間ではないんだ。別の世界からやって来た」


 そう言うと少し驚いたような表情をしたがすぐに笑みをとりもどした。


 「元の世界では魔法っていうのはなくて代わりに科学というのが発達していた」

 「では今使っているその道具も科学という物なのですか」

 「いやこれは正真正銘魔法だよ。元の世界には魔法はなかったが、魔法という概念はあったんだ、で俺はそこでないと思われている魔法なんかが実はあって、自分は使えると思い込んでいた。そしてあるとき、俺が作った魔法書を使ってみたんだ。すると本当に発動してこの世界に来たっていうこと」

 「ではその世界の方々は使えないと思い込んでいるだけで実は使えるのではないのですか」

 「もしかしたらね、でも元の世界の一部の人は使えないからこそ考え、想像の中で魔法を作っていたんだ。それと、科学が俺の力のわけだ」


 そこまで話すとすごく嬉しそうに微笑んで「なるほど」と言った。その声に、その表情に少しの間竜次はとらわれてしまった。そして考える。なぜあんなにも不安がっていたのかと、今まで話した誰一人として怖がらなかったのにと。

 そうして暫く話していると両陛下とランベルト達がやって来た。


 「なんだよてめぇ、こんな可愛いこ達と旅しやがって。まだここ出て一週間たってねぇんだぞ。その上なんだ、挙げ句の果てに婚約者は可愛いお姫様ときた。誰か譲ってくれよ~」

 「ランベルト陛下の前だぞ」

 「いいさ、またいつ会えるかわからないしな」


 そう両陛下は笑いながら許可をだす。そうして暫く皆で立ち話をした。


 「今日は本当にありがとう。またいつでも来て下さい」

 「こちらありがとうございました。今度はうちにお招きしますよ。便利な移動手段もありますしね」


 そう言って二人はまた笑いあっていた。どうやら竜次は移動のために使われるらしい。


 「ラグナさんカリウドリア陛下にも繋がるは渡しとくので」

 「そうか、ありがとう。是非活用させてもらうよ」

 「なんだ竜次君、義理の父になろうという人によそよそしいな。私のこともノイルと呼びなさい」


 なぜかそんなことをいってきた。


 「はいはい、ノイルこれでいいですか」


 そういう満足そうにうなずいた。サクラといい似た者親子だ。


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 カリウドリアのお城で皆で夕食をいただいているとき。


 「今日は本当にありがとう。竜次君のおかげでとても有意義な時間だった」

 「いえいえそんなことはないですよ」

 「いや本当に助かった。竜次君のおかげでレヴィナスと今までよりも強い同盟関係を結べた」

 「それはよかったです」


 食事を終えるとお風呂に誘われた。


 「そうだどうせなら一緒に入らないか」

 「いいですよ」


 竜次は前にもこんなことがあったなと思いつつお風呂に行った。


 「ところでサクラとなにをしていたんだ」


 ふいにそんな事をノイルが聞いてきたものだから竜次はおもいっきり咳き込んでしまった。


 「何って、ただ話していただけですよ」

 「本当かね?」

 「ほ・ん・と・う・で・す」

 「つまらんな」

 「つまりますよ!」


 なんだろうこの人は悪い人ではないがやりずらい。そうしてほかにも少し話してお風呂を出た。そして案内された部屋に行きそうそうに寝ることにした。


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 今日は朝から大忙しだ。朝食を食べるとすぐに式典の打ち合わせをしたのち、服を選んだ。そこまでに5時間かかり式典は14時から行われた。


 「━━━私はサクラ姫の命の恩人に対して最大の感謝を込めて爵位を進呈したい受け取ってくれるかね」

 「申し訳ございません。私には勿体なく、私程度の者には冒険者があっておりますがゆえ。どうか辞退させていただきたくぞんじます」


 ここまでは予定通りだ。


 「うむ、そうかならば貴殿には家を進呈しよう」


 そう言って脇から大臣が出てきて、銀のトレーに一つの鍵をのせて持ってきた。


 (あれ?これどっかで読んだことがあるような)


 「慎んで頂戴させていただきます」

 「うむ、これからも貴殿の活躍を期待する」


 そう満足そうにいうと退場となってしまった。そして部屋にもどって。


 「ふっまんまとはまりおったな。ハッハッハッハッハ」

 「あなたよくやりましたわ」

 「だろう」


 そう言って笑い会うノイルと王妃様。竜次は見事に填められたのだ。


 「では早速案内しよう」


 そう言って行った先にはとても大きなレンガ作りの家があった。


 「ささどうぞ受け取ってくれ、中には既に使用人を何人か手配してある」


 ニヤニヤしながらそういうノイル。


 (ほほうそう来たか。それなら私にも考えがある)


 「ノイルさんこの家自由にしていいんですよね」

 「もちろんだ」


 その声を聞いてニャッとした竜次。


 「皆、ちょっといってくる」


 そう言うと竜次は家のある山に行くと、そこで即席の巨大ピンポイントゲートを用意して既にある家の横にセットしたあとノイル達の元に戻った。


 「ただいま、じゃあやりますか」


 【飛翔】


 そう呟くと竜次の体がフワッと浮き上がって家の上に行った。


 「家のなかにいる皆さん今すぐ外に出てきて下さい」


 それだけいうとさっき作った即席のピンポイントゲートを拡げると家をそのなかに通していく。そしてついになくなってしまった。


 「あ、あぁぁ、い家が消えた・・・」

 「ノイルさんが言ったんですよ好きにしていいと」

 「そ、そうだがこれはないだろ」


 皆呆然としていた。それもそうだろ今まであった家が一瞬にして消えてしまったのだから(正確には転移させただけだけと)。


 「では家に入りすか」


 竜次はそう言うとピンポイントゲートを出していってしまった。そして皆が来ないことを不思議に思いひょっこり顔を出していう。


 「来ないんですか」


 その声を聞いて皆がぞろぞろとゲートをくぐっていった。


 「竜次君、ここはどこだ・・・」

 「私達が作った旅の拠点です。とりあえず新しい家のような一室にピンポイントゲートを置いとくのでもうひとつはお城のどこかに置いといて下さい」

 「わ、わかった」

 「メイドさん達も買い物などはそちらをお使いください、あと横にあるのが元々使う予定だった家なんですけどこちらは自由にお使いください。とはいっても中は何もないですけど。あと少し奥にあるのがお風呂で、家の後ろは私の工房です。お風呂は使ってもらって構いませんが、工房は入らないでください」


 そこまで説明すると質問はないか視線を向けて尋ねた。


 「間宮様、私この家の執事をさせていただきますアレス=セバスチャンと申します。以後よろしくお願いいたします」

 「これはこれはご丁寧にどうも、間宮竜次ですよろしくお願いいたします。ですが宜しいのですかけして給料は高くないのですが」

 「問題はありません。サクラ様の命の恩人ですから」

 「そういえばセバスチャンって・・・」

 「はい、陛下にお使いしているセバスチャンの息子になります」


 素晴らしい!セバスチャンは世界共通の執事名であり、そしてその執事がうちにも来たのだ!ガッツポーズをして心を奮わせていると次々と挨拶をされた。


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 メイドさん


 ・フラナールさん  ・ソフィアさん


 ・レブィナントさん  ・メイリさん


 ・テフラーさん  ・ヒサネさん


 ・庭師兼門番


 ・ダルメレクさん  ・アルトさん


 ・レクサーさん  ・モルスさん


 ・レオンさん  ・クラークさん


 というらしい


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 彼らには明日から仕事をしてもらうことにして今日はお城へ戻った。


 「いや~まさかあんな事をするとはおもなかったよ」

 「ノイルさんが無断であんな事をするからです」


 食事を終えた竜次達はそんな話をしていた。


 「そうそう、こちらへの入り口は間宮君が使っている部屋に置くことにしたから」

 「ありがとうございます。お礼といってはなんですが一緒にお風呂に行きませんか。今度は私が作った方の」

 「ほう、それはいい是非ともお願いするよ」


 そう言って二人はお風呂に向かった。


 「ほうこれはいい見事だ。あのシャワーというのも凄いし、風呂の外は全く寒くないのに空には星がみられる。是非うちの城にも欲しいな」

 「気に入ってもらえて何よりです。これでよければいつでも来ていいですよ」

 「本当かね?ではこれから毎日ここに来るとしよう」


 そう言うと声を大にして笑った。そしてたっぷり一時間程はいるとやっと、お城にもどった。


 「アカネ、サクラあればいいぞ是非皆さんと行ってくるといい」

 「あらほんと、間宮さん私達もいただいてよろしいですか」

 「どうぞどうぞ、わからないことはカリナ達に聞いてください」


 そう言うと彼女達もお風呂に向かった。彼女達を残して先に寝るのもなんなので工房にいって作業をすることにした。もちろんノイルも付いてきている。


 「よしできた」


 そう言って作ったのはラグナと同じ装備一式だ。それを受け取ったノイルは子供のように跳び跳ね回っていた。そしてお城で待ってサクラ達が帰ってくるとものすごく自慢していた。そしてそれに疲れた(精神的に)皆はすぐに寝ることにした。

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