結婚!?

「この度は私達をお助け頂きありがとうございました。私はカリウドリア公国第一王女サクラ=アリア=カリウドリアです。つきましては国へつき次第お城にお招きしたいのですがよろしいでしょうか」


 俺はハリーさん達にも確認をとって返事をした。


 「サクラ様申し訳ございません。私共はハリーさん達の捜索にきたわけでして一度ご家族の方にご報告をしてからでもよろしいでしょうか」


 俺はそう尋ねてみた。騎士達はもちろん「なにを言ってるんだ」というような顔をしていた。それもそうである、一国のお姫様の頼みの前に自分の予定を済ませてからな、というなど無礼だにもほどがあった。しかしお城に行ったらいつ帰れるかわからないからだ。


 「わかりました。では明日お越しいただけるという事でよろしいですか」

 「はい」


 そう言うとお姫様の頬が少し紅くなった気がしたが気のせいだろ。


 「ところでこちらのお乗りものはなんですか。とても乗り心地がよいうえにとても速いようですが」

 「これはAHN-MARKⅠというもので、私が作ったマギアエルガレイオンというものの一つです」

 「ではこちらは間宮様がお作りになられたと。お強いだけでなく、このような物を作れるほどの知識の持ち主とは是非このまま我が国にいて欲しいですね」

 「すみません、今は冒険者なので。それに一応レヴィナスの宮廷魔術士団にも所属しているので」


 そう言って断ると少し寂しそうな顔をした気がした。そんな話をしていると都の門にたどり着いた。するとわらわらと騎士が出てきてこちらを威嚇した。

 それもそうである。こんな黒い物体が突如猛スピードでやって来たら、そうなる。

 俺がAHN-MARKⅠから出ると騎士達は警戒心をあらわにしてきた。その後フラガに続いてお姫様が出てくると彼らは警戒をとき、敬礼をしてきた。


 「おまえ達、彼は魔獣に大怪我を負わされたサクラ様をお助けになられた命の恩人である。丁重に対応しろ」


 フラガがそう言うと彼らはすぐさま門を開けると両脇に列を作り敬礼をしてきた。俺達はAHN-MARKⅠに乗るとそのままお城へ走り出した。

 お城へ着くとすぐに扉が開き中ではまた騎士達が両脇に並んで敬礼をしていた。竜次たちはかなり緊張しながら玄関まで行った。


 「サクラ様お帰りなさいませご無事で何よりです。冒険者の皆様大変ありがとうございました。旦那様が是非ともお礼をしたいので是非とも中に来て欲しいとのことですのでお越し下さい」


 そう言ってきたのは50過ぎ位だろうが執事のような人だった。いや実際そうなのだろう。


 「ごめんなさいセバスチャン間宮様方にもご予定がごさいますの、ですからお礼はまた明日という事でお願いいたします」

 「かしこまりました、ではそのように旦那様にもお伝えしておきます。では冒険者の皆様の明日お待ちしております」

 「すみません。ありがとうございます」


 そう言って俺達はお城をあとにした。帰りは騎士達に護衛をされながら帰るというとても居心地の悪い思いをした。宿に帰るとクララが何事かと出て来ると。一瞬驚いたような顔をしたがハリーとブレッドが出てくると泣いて喜んだ。


 「では私共はこれで失礼させて頂きます。明日9時にまたお迎えに参ります」


 そう言うと騎士達は帰っていった。俺達が宿に入るとすぐにクララがやって来た。


 「なんとお礼を言ったらいいか、本当に、本当にありがとうございます」


 そう言って泣きながらお礼をいってきた。俺達は一言「よかったね」と言うとそこでまだ朝ごはん食べていないことに気がついた。俺達は食堂でそれを食べると時間は13時になっていた。時間もあったので俺達は観光をすることにした。


 「このアクセサリーカリナに似合いそうだよ」


 そう言って俺は露店に出てたアクセサリーをカリナに見せてみた。


 「ば、あたしはそうゆうの似合わねぇよ」

 「いや、絶対似合うよ。これいくらですか」

 「銅貨37枚だよ」


 俺は銀貨1枚を出して、銅貨63枚を受けとるとカリナに渡した。


 「ほらもう買っちゃったし、つけてみなよ」

 「仕方ねぇな少しだけだそ」


 そう言ってカリナは渡したアクセサリーをつけた。


 「ほら、やっぱり似合う。かわいいよ」

 「な、ば、バカ!か可愛いとかんなわけねぇだろ」

 「いんや可愛いぞ」


 そう言うと急に顔を紅くしてそっぽを向いてしまった。


 「バカ・・・」

 「なんか言ったか?」

 「なんでもねぇよ」


 そう言うとカリナは先に行ってしまった。少し羨ましそうにしていたナユリにも一つ買うと仕方ないのでホムラにも買ってあげた。二人はお礼を言うとカリナを追いかけていった。


 「もぅ先に行っちゃ駄目だよ」

 「わぁたよ」


 そういいながら野菜などを、買っていた。もちろん荷物もちは俺である。まぁ蔵があるからいいが・・・

 そう言って観光(買い物?)を済ませると宿に戻った。着いすぐお風呂へ行き汗を流して出た頃には7時になっていた。夕食にするべく食堂へ向かうと直ぐにクララが運んで来てくれた。俺達はそれを食べると明日に備えて直ぐに寝ることにした。


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 「クララさん2日間ありがとね。次この国に来たときはまた利用させてもらうよ」

 「はい、お待ちしております。本当にありがとうございました」


 そう言って俺達とハリー、ブレッドは騎士団と共にお城へ向かった。


 「ようこそいらっしゃいました。ではこちらへ」


 玄関で待っていた執事がそう言うと恭しくお辞儀をして案内してくれた。通された部屋で暫く待っているとその人はやって来た。


 「お待たせしてすまない」


 そう言ってやって来たのは、壮年の男性と女性お姫様だった。その人が部屋に入るとどうじ竜次以外とホムラ以外の全員がガバッと立ち上がり深々とお辞儀をした。竜次とホムラもゆっくりと立ち上がると彼らと同じようにお辞儀した。


 「そうゆうのはいいさ、私は今公王としてここに居るのではない。1人の父親としているんだ」


 そう言うと続けて座ってくれと言われたので俺達はソファーに座った。ソファーはとても座り心地がよかった。さすがお城のものだ。


 「改めて、サクラの父ノイル=クラハ=カリウドリアだこの度は娘を助けてくれて本当にありがとう」

 「ノイルの妻アカネ=テミス=カリウドリアです」


 そう言うと深々と頭を下げてきた。その行為にさすがに竜次とホムラを含む全員が驚いてしまった。


 「やめてください陛下、私達はたまたま見つけたので助けただけです」

 「そうです。それに私達も間宮様達が来なければだめだったのです」

 「確かにそうかも知れない。しかし彼らが来るまで動けない騎士達と娘を守ってくれていたのは君達だ本当にありがとう」


 そう言って陛下はまた頭を下げた


 「そして間宮君、君は死にかけていた娘を一瞬にして治してくれただけでなく騎士達までも治してくれたとフラガから聞いている。本当にいくらお礼を言っても足りぬ」

 「私達もハリーさん達を探していたらたまたま見つけただけですのでそこまでお礼を言われても困ってしまいます」


 そう言って返事をした


 「そこでだ、君たちにはお礼としてこれらをうけとってほしい。

 セバスチャンここに」


 そう言ってセバスチャンという執事は数人を引き連れて銀のトレーに袋と箱を乗せて持ってきた。


 「まずは1人づつに王金貨5枚、とこのカードを授ける。これがあれば大抵の場所へは自由にいけるし、何かあれば私が後ろ楯となる証拠だ。また君達は冒険者だと聞いている、だからギルドに君たちのことを報告しといた。ランクが上がるだろうから後で確認してくれ。

 ハリー君とブレッド君は町で宿屋もやっているそうなので、こちらで改築させてもらいたい」


 そこまで言われてハリーとブレッドは気絶した。陛下は彼らを客室で寝かせるように言うと話を続けようとした。


 「お父様、お母様。私お願いがごさいますの。私を間宮様と結婚させてください。私は人生をこの方と歩みたいと思いました」

 「なぜかね」

 「私、先日魔物に腹を切られたときから治して貰っているときまで意識がありましたの。とても痛かったですわ、死ぬのかと怖かったです。

 しかし間宮様が来てくださり私を治して下さいました。奇跡だと思いました、治していただいている際の間宮様の魔法はとても暖かく、大きな何かに包まれているようでした。そして私は思いました。この優しく、大きな方と一緒に生きたいと」

 「サクラ・・・」


 そう王妃様が呟き陛下は少し考えるそぶりをした。


 「よし、わかった。許そう」


 そして許可した。なぜこうなった。確かにラノベでは命を助けられたお姫様が主人公に恋をするのは普通だがこれはラノベではないリアルだ。


 「はぁぁぁ!!」


 思わずそう大声を出してしまった。そしてこれで俺は割りきることができた。


 「間宮君、うちの娘を頼む」

 「あの私今は冒険者なのですが・・・」

 「知っているなんとかする」

 「一応レヴィナス帝国の宮廷魔術士団に所属しているのですが・・・」

 「それもなんとかする。何かねうちの娘は不満か」

 「それは確かにサクラさんはかわいいですし、若いですし、男子としてはこんな人にその・・・す、好き。とか言われたら嬉しいですよ。でも・・・」

 「でもなんだね」


 陛下の迫力がすごい、というか王妃様の笑顔がなにげに一番こわい。


 「でも俺は見た目だけで選びたくないです。だってそれは相手にとってとっても失礼だし。自分にとっても損だと思うんです。ですからまだそのお話は受けられませ。すみません」


そうきっぱりと断った。暫し場が静かになる。そしてその静かな空間は笑い声によって壊された。


 「ハッハッハッ。気に入った、わかった。しかしここまでの男ならいい。よし今ある見合い話全て蹴ろう。サクラよくやったなこんないい男そこら辺には転がってないぞ」


 何が気に入ったのかそんな事をいってきた。そして今まで黙っていた王妃様が口を開いた。


 「サクラ、あなたの想いは本気ですか」


 その質問にサクラは強く決意のこもった瞳でまっすぐ見つめると肯定した。


 「わかりました。なら今すぐこの人達に着いていきなさい。間宮様こんな娘ですがどうぞよろしくお願いいたします」

 「間宮様どうかよろしくお願いいたします」


 そう言って頭を下げられてしまった。


 「さすがにそれは危険ですから出来ません」

 「ではこの町に拠点となる家を用意するのでそこに住まわせれば」

 「私は世界を見てみたいのでそれも出来ません」

 「あら、おかしいわね。ある有力な情報筋から聞いたのですが、ハリーさん達を探しに出られたのは昨日の日も昇りきらない時間、およそ5時頃と聞いたのですが。それで帰って来たのは11時頃。つまりおよそ6時間で往復したことになります。それでフラガさんから聞いた話によると2時間位洞窟でサクラが目覚めるのを待っていたと、ここまでではおよそ片道2時間かかったというのなら話はわかるのですが。フラガさんの話が本当なら片道4時間位かかったとか。つまり本当はもっと早く移動できる手段があるのではなくて」


 なんという推測力。そう実はこの王妃様、この国の学校を主席で卒業した強者だったりする。


 「えっと。それは・・・」


 竜次はなんとか出来ないか考えたが見つからなかったので諦めることにした。


 「はい、私はピンポイントゲートという転移という一瞬で別の場所に移動出来る道具を持っています。また2人位ならこれを使わなくても一瞬で移動できます。道具を使わないこの方法を私は瞬間移動と読んでいます。もし信じられないようなら実際にやってみましょうか」


 そういって実践してみることにした。


 「うむでは私と一緒に外に行ってまたここに戻ってこられるかな」


 そういうので私は陛下に触れると窓の外の庭をみて瞬間移動を使った。


 「嘘だろ・・・

  ハーッハッハッハッハ・・・・」


 陛下が壊れてしまった。近くをたまたま歩いていた騎士は気絶してしまった。そして俺はまた部屋に戻った


 「確かに彼は一瞬で移動したよ」

 「そう・・・。でもこれで家についての問題は解決ですね」

 「その事なのですが、実は既にあの山に家がありましてそこを拠点としているんです」


 そう遠回しに危険だからダメだといってみた


 「そうですかではそこにサクラを置いてください」


 だめだった・・・


 「でもあの家は狭いですし」

 「なら改築しましょう」


 (だめだ、この人なにがなんでもサクラを連れていかせる気だ)


 「まぁまぁ、その話はあと出にして。私にも考えがあるし。

  間宮君、君にはもうひとつ爵位をあげたい。もちろん断ることは可能だ。すまないこれは私の気持ちだけでなく王族として娘を助けて貰って何もしないのはまずいんだ。すまないねこっちの都合で」

 「それくらいならいいですけど」

 「では明日の授与式に来てくれ。今日はこの城に止まるといい」


 そう言ってお開きムードになったところで思い出したように話し出した。


 「そうだレヴィナス皇帝にお願いしないとな」

 「それならもしよければ今から連絡しますが」

 「は?出来るの?」

 「はい、少し待っててください」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 この会話にはさすがの皆も驚いていた。俺はラグナの顔を思い浮かべると繋がるを起動した。


 「すみません今大丈夫ですか」

 「あぁ平気だよ、連絡は明日のはずだけどどうしたの」

 「それが実は・・・」


 俺はこれまでの事情を説明した。


 「なんだ君はつまり、止まった宿の店主と息子を探しに行ったら、大怪我のお姫様に会って助けたら結婚してくれってなったと」

 「はい、そうなんです」

 「わかったカリウドリア公王と話がしたいが大丈夫か確認してくれ」


 そういわれたので確認した。もちろんOKであった。


 「そうか、ではうちに来てもらうように行ってくれるか。場所は君が使ってた工房に出るようになっているから今そっちの玄関に向かうよ」

 「すみません」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「すみません今からレヴィナス帝国のお城に来てもらえますか」

 「あぁいいよ」


 さすがになれないようでまだひどく驚いていた。陛下は執事にこのとを知らせると俺は蔵からレヴィナス帝国へのピンポイントゲートを出して起動させた。


 「ではここをくぐってください」


 そう言って皆がくぐっていく、最後に俺がくぐるとピンポイントゲートを蔵にしまって皆を連れて玄関に行った。

 扉をあけると両脇に宮廷魔術士団が並び前にはラグナが待っていた。


 「お久しぶりですカリウドリア公王陛下、急にお招き申し訳ございません」

 「お久しぶりですレヴィナス皇帝陛下、こちらこそ急なことなのにお招き頂きありがとうございます」


 さすが国王だ。すごい威圧的な挨拶をかわした。

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