ビックな人との出会い

「さ~再開しますかね」


 一休みした俺達は作業を再開させることにした。ここまでは家、お風呂が完成しているのであとは工房を作るだけだ。

 俺は家の裏に行くと地面に手を触れて箱形の家を作ると、窓ガラスをはめて完成した。そのあとは彼女達に家の掃除とお風呂に入ってもらった。

 できた工房は5メートル×5メートルと、そこまで広くないなぜ、こんなに狭くしたかというと、地下室を作るためだ。まず部屋の入り口から一番遠い隅に5メートル位の縦穴を掘りそこに降りると、周りを10メートル×10メートル位の大きさに広げた。そのあとさっき開けた穴の3メートル位下に階段をつけた。そのあと蔵からフローリング用の板を取り出すと床一面に敷き詰めた。そのあと一部に今度は10メートル位縦穴を開けるとまた同じように降りて100メートル×100メートルの部屋をつくった。そのあと階段を作り上まで行くと穴を塞ぎ、上に目印となる棚を置いた。そしてまた階段を登って地上に出るとその穴もふさいだ。


 (よし!目的達成、これで工房兼俺専用の特訓場ができた)


 家に入るとお風呂に行ったらしく誰もいなかった。そこであることに気がついた。


 (しまった、俺としたことがトイレをつけ忘れた)


 急遽俺はトイレを階段の下に接地した。もちろん水洗式の現代的なもので、排泄物はピンポイントゲートの縮小版を底に接地しており、さっき山奥に瞬間移動を使って出口もセットしてきた。

 そのあと部屋の隅に穴を開けるとそこから地下室を作った。これは霧結界を接地するためと、小さな物置としてだ。しかし小さいと行っても、家の半分の15メートル×15メートルはあるから、そこそこな広さはあるが。

 そうしてこれらを作り終わると彼女達がお風呂から上がってきた。


 「お、おまえすげぇな風呂に入ったら疲れが吹き飛んだわ」

 「そりゃよかった。あの風呂には少し再生が混ざっていて疲れをとるだけじゃなく、毎日入れば若返り効果もあるんだ」

 「それ、ほんとですか。じゃぁ毎日入らないと。あ、でも旅に出たら入れないです~」

 「それなら問題ないよ。この家にピンポイントゲートを設置して、町にいるとき以外はここに帰ってこれるようにするから」


 そう言うと彼女達を地下室に案内した。


 「少し地上より寒いですね」

 「そりゃ地下だしな」

 「ここは霧結界の設置場所兼物置だ。ピンポイントゲートはここに設置するから」


 それだけ説明するとホムラが静かなことに気がついた。いつもうるさいと言うわけではないが、静かすぎる気がした。


 「どうしたホムラ、体調でも悪いか」

 「すみません、少しのぼせてしまいました」

 「そうか、じゃあ少し座ってたら」

 「あぁそうさせてもらいます」

 「間宮さん、ところでこれなんですか」


 そう、トイレの前で聞いてきた。この世界にはトイレはないのだろうか


 「あぁこれはトイレって言ってね、ここで排泄したものをそこのレバーを捻ることで水と一緒に流してくれるんだよ」

 「へぇ~凄いですね」


 ナユリはそう言って感心しすると暫く眺めていた。


 「作業を終わったなら、メシ作ってる間に風呂に行ってこいよ」

 「じゃぁそうさせて貰うよ。火はそこのコンロのコックを回せばつくし、レバーで強さを調節できる。水はそこの蛇口を捻れば出るから、あと・・・」

 「わかった、もうそれで十分だからさっさと行ってこい」


 そういうので俺はお風呂に行った。


 「ふぁ~、極楽極楽。久しぶりに入ったな、前は家の風呂で水を操る真似事とかしてたのにな、━━━」


 そこまで言ってから自分が黒歴史を掘り起こしてしまったことに気がついた。


 「━━━ブクブクブク~。わゎまるれだい忘れたい」


 そういいなが潜ってしまった。久しぶりの風呂を存分に堪能すると、俺は風呂からあがって家に戻った。


 「よぉ、ナイスタイミングちょうど今できたところだぜ。にしても便利だなキッチンってのはよ」

 「そうか、それはよかった」


 そう言うと、皆でカリナの作った料理を堪能した。


 「家は完成したし、結界も張ったから万が一にも人や魔物が来ることもない。だから明日から出発しようと思う」

 「じゃあさっさと寝ようぜ」


 そう言うと各々自分の部屋に行って寝た。今日は一応木だから昨日よりはマシになった。町に行ったら布団を買わなきゃなと思ったりして今日は夢の中に入っていった。


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 「さ、今日からまたカリウドリア公国へ向けて主発だ」

 「行きながらハリウサギまた見つかるといいな」


 AHN-MARKⅠを運転しながらそんな話をしていた。


 「ハリウサギが欲しいのか、なら任せておけ」


 そう言うとホムラはAHN-MARKⅠから降りるとドラゴンに戻ると「グルァァァ」と叫んだ。すると森がざわめいたかと思うとハリウサギが飛び出してきた。

 俺はハリウサギをバンッバンッとうちながらホムラに話しかけた。


 「おい、なにをした」

 「少し彼らに(おまえ達さっさと出てこないとここらの土を全て掘り返すぞ)って言っただけですよ」


 俺達は苦笑いをすると急にハリウサギ達がかわいそうになってきた。しかし金が飛び出してきているのは事実、俺達は狩り尽くさないようにしながら捕まえていった。


 「とったとった」

 「なんかウサギさんがとてもかわいそうな気がしました。獲りましたけど」

 「ほんとな、獲ったけど」


 そういいながらホムラをジト目でみる。テレパシーとは本当に便利なものだ。獲ったやつらを蔵に仕舞うとAHN-MARKⅠに乗って出発した。

 何時間は走っただろうか、そろそろ座りすぎでお尻が痛いと思い始めた頃それは見えてきた。


 「町だ~」


 ナユリが子供のようにはしゃぐ。


 「ナユリ、おまえそういえばどこに住んでたんだ」

 「私ですか、私は師匠と森の中で住んでました。でも師匠が世界をみて来いっていうから仕方なく町へ向かってたんですけど。その途中で魔法の練習をしてたらホムラさんの家を焼いちゃって、二人に会ったんです」

 「へぇ~じゃあおめぇ町を見るのは初めてか」

 「はいぃ、だからとっっても楽しみなんです」


 そう言っていると既に、町の入り口辺りに人が豆粒程度に見えるようになったのでAHN-MARKⅠから降りて歩き出した。

 門の前に着くと、騎士に何が目的でやって来たかを聞かれた。俺が冒険者でレヴィナス帝国からやって来たとつげるとなんなく通してくれた。まぁ通行料を1人銅貨10枚づつ合計40枚払ったが・・・

 中に入るとそこはには木造の家々が並び、中央に大きな時計搭が見えた。どこからかは美味しそうな匂いがし、町は活気づいていた。


 「これが町ですか~、人がいっぱいいる。賑やかで美味しそうな匂いがする。楽しそ~」


 ナユリはおおはしゃぎだった。


 「あの時計搭はすげぇな」

 「あぁ、とりあえずはギルドに行って依頼の達成を報告してこないと」


 そう言って俺達は後で行きたいお店などを話し合いながら門沿いを少し歩いたどこにあるというギルドに向かった。


 「えっとハリウサギの討伐ですね、はい確認しました。報酬の銀貨20枚です」

 

 そう言って受付をしてくれたのは、美人でもブスでも女ですらない、まさかのイケメンだった。


 「あと、買い取りをお願いしたいのですが」

 「わかりました、ではギルドの裏に来て下さい」


 そう言うとギルドの裏に着いていった。俺は荷物をとってくると行って路地裏に入ると大きな布の袋を取りだし、空気を中にいっぱいいれると口をつかんで持っていった。


 「お待たせしました」


 そう言ってから俺は口を少し開けると素早く手を入れあたかも袋から出してるかのようにハリウサギを次々と手元に出しては渡しを繰り返した。俺は食べるようと保存用の20匹を残すと他を全て出した。


 「えっと、ハリウサギ40匹ですね」


 イケメンスマイルが少し崩れた。


 「一匹銀貨5枚で合計が金貨8枚となりますがよろしいでしょうか」

 「はい、それで大丈夫です」


 そう言うと金貨8枚を受け取りギルドから出て外で待っている皆と合流した。カリナの分と合わせて金貨9枚となった。


 「今日はもう日もくれるしどこか宿をとって、明日遊ぼ」


 そう言うと宿を探して歩き始めた。暫く大通りを歩いているとそこそこよさそうなお店が見つかった。


 「いらっしゃいませ、お食事ですかお泊まりですか」

 「泊まりで、2日の4部屋お願い出来ますか」

 「はい2日の4部屋ですね・・・はい、大丈夫ですよ料金は全員で銀貨4枚ですが前払いでお願いします」


 俺は金貨を1枚渡して銀貨を6枚受けとると鍵を受け取り部屋に向かおうとした。


 「待ってください。お風呂は10時までですが、夕食は何時からにしますか」

 「では6時からでお願い出来ますか」

 「かしこまりました。ではごゆっくりと」


 俺達は今度こそ部屋へ向かった。各自部屋を確認すると食堂へ集まった。


 「やっぱり時計があった方が便利だな」

 「そうだな、確かに便利だ。だがこの宿は風呂に食事も着いて銀貨1枚は安すぎる」


 そんな話をしていたら、受付をしてくれた人が料理を運んで来てくれた。それを皆で食べる、カリナやランベルトに比べるといまいちだったがそれでも美味しかった。食べ終わると受付をしてくれた人がきた。


 「当店の料理はいかがでしたでしょうか」

 「美味しかったです。ありがとうございます」


 周りの皆も同意の意味を込めてうなずいた。


 「ところでよ、この宿なんでこんなに安いんだ」


 カリナがそう聞くと少し悲しいような表情をしたあと答えてくれた。


 「それはこの宿の店主、私の父と兄が冒険者もやっていて獲ってきたハリウサギなどの食材をここで売っていたからなんです。ギルドを通さないので、こちらの儲けが変わらなくてもそこら辺より安く売れるんですよ。その儲けを利益の足しにすることでこの料金にできているのですが・・・」


 どこか辛そうな顔をして黙り込んでしまった。


 「ですが?」

 「ですが・・・10日前獲りに行ったきり帰って来なくて・・・」


 そこまで言ってついに泣き出してしまった。


 「どうする、俺は助けて上げたい」

 「私もです。かわいそうですよ」

 「私は間宮様のやることにはついていく」

 「だが、10日前だとどこまで行ったかにもよるが生存の可能性は限りなく低いぞ」


 そう言ってまた皆黙り込んでしまった。部屋で唯一受付の人の鳴き声だけが響いた。


 「それでも俺は助けてあげたい。カリナが言うようにこの宿の料金が安いならその分の仕事をしたってことでいいじゃないか」

 「そうですね、じゃあやりますか」

 「しゃぁねぇな、おめぇがそういうなら付き合ってやんよ」


 これで明日のやることは決まった。このとき完全に皆は買い物のことなどすっかりと忘れていた。


 「ということなんで、私達に任せてください。必ず連れ帰るとは言えないけど、もし連れ帰れなくても彼らのものをなにか持ち帰るから」

 「そんな、いいんですか」

 「ああこう見えて俺達結構強いんだぜ。そうだあなたと、あなたのお父さんとお兄さんの名前教えて貰えるかな」


 そう言うと涙を拭っていってきた。


 「私の名前はクララです。父はハリーで兄がブレッドです」


 それを聞くと俺達は彼らの外見と持ち物、どこへ向かったかを聞いた。どうやら向かったのは俺達の家がある近くらしく明日の朝一で家に飛んででそこから探すことにした


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 次の日俺達は日も昇りきらない朝早くに宿を出ようとした。


 「お待ちください。これを是非お持ちください」


 そう言って大きなリュックを渡してきた。


 「これは?」

 「皆様の朝ごはんとお昼ご飯です。夜の分までは料理がダメになってしまうので出来ませんがどうぞお持ちください」


 そう言って受けとるとズシとものすごい重さがあった。ホントに冒険者に持たせる荷物じゃない。


 「ありがとうございます」


 そう言って俺達は町の門を出て森に入るとピンポイントゲートを取り出して家に戻った。


 「よし、じゃあ始めますか」


 そう言って俺は蔵からサーチマップを取り出した。


 「間宮さん、それなんですか」

 「これはね概念魔法で作ったある程度のものを探し出せるマギアエルガレイオンだ」

 「おかしいですよ、概念魔法ではそんな事を出来ない筈です」

 「それはおそらく勘違いだ、俺の世界の知識ラノベ通りならその人が考えうるもの全てが出来る。例えそれが想像や言葉に出来ないものでもね」


 そう説明すると早速発動した。


 《サーチ対象人検索範囲ここから10キロ以内》


 「とりあえずこれで人は見つかったからあとは、二人組でおそらく動けないだろうから止まっている人」


 そう言って探していると見つけた。どうやらこれに写るということはまだ生きているらしい。早速その場所へAHN-MARKⅠで向かった。ポイントに着いてみるとそこには聞いていた外見とは全く違う、むしろ性別すら違う二人がねていたので人違いだたった。

 二人から離れるともう一度サーチを使った。するとさっきは反応しかった大人数のいる場所が見つかった。ここからちょうど更に10キロ位行ったところである。とりあえずAHN-MARKⅠに乗ると情報を集めるためにいってみた。

 そこには洞窟があった。しかしその外で魔物に襲われている壮年の男性と若い男性がいた。しかもその二人の外見がハリーさんとブレッドさんにそっくりだったのだ。取り敢えず助けるためにブリューナクで魔物を撃ち抜いた。


 「大丈夫ですか」

 「はい、ありがとうございました」


 そう言って壮年の男性はお礼をしてきた。


 「つかぬことをお伺いいたしますがもしやハリーさんとブレッドさんじゃないですか」

 「おお確かにそうだが君は誰だ」

 「私はクララさんからお二人の事を聞いて探しにきたのですよ」

 「いや、そうでしたかどうもありがとうございます」


 そこまで話すと俺はさっきから気になっていた洞窟について聞いてみた。


 「あの、先ほどみてみて思ったのですが、さっきの魔物からなら逃げられましたよね。なんで逃げなかったんですか」

 「それは中にお姫様がおられるからですよ」

 「そうなんですか、お姫様が」

 「お姫様ー!?」


 思わず二回言ってしまった。


 「道理で動けない訳ですね。でもなぜこんなところにいるのですか」

 「それが、どうやらお姫様をはじめ執事と護衛の騎士はオーシャン海帝国からの帰りに強力な魔物に教われてしまったらしく、騎士は5人以外全滅、その騎士も満身創痍のところにちょうど出くわして。この洞窟に連れてきた分けよ。で、外に出たとき運悪くさっきの魔物と出くわして姫様は腹を切られて大怪我、それで今執事が馬で国に助けを呼びに行ってる」


 だいたいわかった。帰ってこられなかったのはお姫様達を助けてたからだったということだ。


 「よし、俺をお姫様の元に案内してくれ治してみせる」


 そう言うと俺はハリーに案内されてお姫様の元へ行った中では満身創痍の騎士達が急に入ってきた俺に警戒心をあらわにしてきたがとりあえず無視して治療にあたった。


 《再生》


 そう呟くとみるみるうちにお姫様のお腹の傷はふさがり服すらも治った。続けて騎士達にヒールをかけて傷を癒すととりあえず騎士達は警戒心をといた。


 「私はカリウドリア公国騎士団副団長のフラガ=シュウだ。サクラ様を助けて頂き本当にありがとう。ついては名前をお伺いしたいのだが」

 「私はレヴィナス帝国宮廷魔術士団所属、間宮竜次です。とはいっても今は冒険者ですがね」

 「そうでしたか、間宮様この度はサクラ様を助けて頂き本当にありがとうございました。つきましてはこの事は全てカリウドリア公王陛下にも報告させて頂きます」


 そう言って深々と頭を下げてきた。


 「あの、ここにいても危険ですしまだ馬車は無事のようですからお姫様がお目覚めになられたら町に戻りませんか」

 「いや、確かに馬車は無事だが、ひく馬がいない」

 「そこは問題ありませんよ」


 そう言ってAHN-MARKⅠを出した、結構広い洞窟だったが、少し屋根が危なかった。


 「これは・・・」


 カリウドリアの騎士達は皆腰を抜かしてしまい、そのままお姫様が目覚めるまで動くことはなかった。


「ではお姫様もお目覚めになり準備も整ったので主発しますか」


 俺はAHN-MARKⅠと馬車を繋げるとAHN-MARKⅠに護衛の騎士二人とお姫様を乗せて出発した。

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