非日常的な恋愛はオフィスの中に

卯月 優

第1話 憧れの愛奈華さん

「おはようございまーす。」

会社に着き、自分のデスクに向かいながら同じ部署の人達に挨拶をする。

朝比奈 蓮。職業、会社員。現在、第二部署所属。毎日平和に働かせてもらっているどこにでもいる会社員だ。

「おはよう、朝比奈くん。君が昨日出してくれた資料、とても見やすかったよ。ありがとね。」

彼は、俺が所属する第二部署で上司の田中さん。

とても優しい上司だ。ちなみに、俺が大学の時の就活で面接を受けた際の面接官だった。

「いえ…!!こちらこそありがとうございます!!そう言ってもらえると本当にありがたいです。」

「君も忙しいとは思うんだけど……また頼んでもいいかな?」

「はい‼ぜひまたよろしくお願いします‼」


朝のミーティングが終わり、各自それぞれ確認事項を確認してデスクワークを始める。

今日は特に会議とかは何もないはずなのでゆっくり落ち着いて仕事ができる。

デスクワークも楽と言うわけではないが、そこに会議やらなにやら入ってくると、ますます慌ただしくなってしまい、デスクワークに追われることもある。

なので、今日のようなデスクワークに追われない日はとても貴重だ。


俺が所属するのは第二部署。

勿論、予想通り、第二部署が存在すれば第一部署も存在する。

ちなみに、うちの会社は同じフロアに第一部署と第二部署がある。

いろんな課や部署があるがきりがないのでその話はまた今度にしよう。


仕事を進めていると、毎回、目で追いかけてしまう俺の憧れの人物がいた。

第一部署の小倉愛奈華さん。

大切なことだから言っておくが間違っても決してストーカーなんかじゃない。


前に一度、助けてもらって会話を交わした以来、話したこともない。美人で仕事ができる完璧な女性ひとと俺が付き合えるなんて、そんなマンガとかみたいな憧れるようなこと起こるはずないしなー……

そう思いながらいつものように見ているとふとまた目が合ってしまった。また、と言う言葉で察してくれているとは思うが、結構な頻度で目が合うことがある。だがしかし、テンパる俺。そりゃ、テンパるわ、話したこともないのに嫌われたりなんて絶対嫌だし、しかも好きな人と目が合ったんだ。テンパらないヤツなんかいないはずだ。

お互いに気まずく感じたのか目をそらした。

また少ししてから見ると、また目が合ってしまった。いつも必ずと言い切っていいほどこのときは微笑してくれる。

女神だ。違う、そうじゃない。

勿論、さっきのときもいつもと同じ流れで微笑してくれた。

毎回のごとくなので、俺の顔に何か付いているのか確認してみても何もないし、服装がおかしいわけでも、周りになにかあったわけでもなんでもなかった。

なら、何か伝えたいことがあるのか?でも話せない。いや、これはただ単に俺が意気地無なだけだ。

どう考えても毎度わからずじまいなので考えるのを止めて仕事に集中することにした。


そうして休憩をとりつつ、仕事をして昼休みを挟み、また午後に仕事をして気が付くと定時になった。

今日の分の仕事は終わったので残業はなしで、もう帰りだ。


帰りながらずっと愛奈華さんの行動が気になって仕方がなかった。

仕方がなかったので、俺は1つの決断をした。

いや、決して話にいくとかそんなことはしない。する勇気がない。


家に着くと早速俺は、決断を行動にうつした。目の前にノートパソコンを広げた。

さぁ、もうお分かりだろうか。

ググるのだ。

なにをって、そんなの決まってる。

気になって仕方がない愛奈華さんの行動をだ。

“女性 視線”と入力し、検索をかけてみた。

そしていくつかのサイトを見ていると全く同じような行動が書いてあるサイトを見つけたのだ。

「おお……‼これだ‼…んと……なになに?“一度目があっては恥ずかしそうに視線をそらし、もう一度目が合うと微笑んでくれる女性は脈アリかもしれません”か、なるほど!脈アリってことは両想いってことか!」


はい?え?両想い?

今なんと言いました??

“一度目があっては恥ずかしそうにそらし、もう一度目が合うと微笑んでくれる女性は脈あり”

なんですと………!?

こんなことあっていいのか!?

ま、まさか、も、もしかして………!?

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