路地裏の怠け者

作者 須能 雪羽

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★★★ Excellent!!!

 盗賊団「ミーティアキトノ」に属する少年アビスが、少女フラウを目にした時に、この壮大な絵巻物の「序曲」が奏で始めます。

 フラウの微笑みに全身を支配されたアビスは、彼女を追い続けます。彼女と過ごす時間の中で、彼の心奥には「小舞曲」や「譚詩曲」、「即興曲」などが流れます。

 身寄りのないアビスは天蓋孤独のようで、実はそうではありません。
 彼の側には「ミーティアキトノ」の個性豊かな面々が寄り添い、仲間として、そして家族として、彼の世界を彩ります。

 やがてアビスは、フラウの嘘を知ることになります。
 戸惑い、受難に直面し、それでも、彼がこの言葉を口にする時、優しいラプソディが二人を包み込むのです。

 ——嘘ばかりの君を、ボクは守ると決めたんだ。

 ◇◇◇

 無駄のない場面描写は、登場人物たちのアクションをまるでアニメーションのように展開させています。冒頭、エコリアから飛び降りたアビスが、やがて山賊の一味と対峙する場面や、2章での影の部隊とのバトルではアニメ特有のスピード感を楽しめるのではないでしょうか。

 他方、この物語の醍醐味はそうしたバトルのスピード感だけではありません。物語は、基本的に一人称・アビスの視点で描かれています。故に、ここでは、彼が、「来た、見た、『勝った』」と言うよりも、『感じた』世界の変化が絶妙に描かれています。

 アビスの感情に触れた時に、この世界の王侯貴族の矜持が際立ち、「ミーティアキトノ」の面々の優しさに心安らぎ、そして——フラウと言う少女の全てに、彼と共に思い悩まされます。

 筆者の巧みな技術と感性に支えられたこの絵巻物——「路地裏の怠け者」は、53万字を超えても、なお、主人公の世界を彩り続けています。

★★★ Excellent!!!

本物のファンタジーを読みたい方にオススメです!
綺麗で穢れのない一般的なヒロインと一線を画す、魅力あるヒロイン。
ラノベラノベしていないシリアスな雰囲気。
正直、好みのドストライクです。
シリアス一辺倒ではなく、甘味料のように織り交ぜられたキトン達の鳴き声も、心を癒してくれます。
ただのラノベじゃ満足できない方、ぜひこの作品をお読みください!

★★★ Excellent!!!

只今、冒険の途中ですが、既に大長編異世界ファンタジーとなっております。

フラウが、かなり出来上がった性格で魅力的です。

時折、猫の言葉が聞こえて来るのは気のせいではありません。

執事らも仕事を全うするのに懸命です。

この世界で暮らす人達が、身にまとうもの、所作、身分の違いの間にあるものなどを細部にわたるまで綺麗に描いています。

異世界ファンタジーがお好きな方に特にオススメです。

是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

読み途中ですが、コンテストの期限が迫っているのでレビューさせていただきます。
 
体の半分は人間、半分はキトン(猫)――つまり猫の半獣の一味が構成するミーティアキトノという一団が活躍する物語です。
彼らの一員である少年アビスは、男爵夫人であるという少女を救ったことから、他の団員たちと共に何やら陰謀に巻き込まれていきます。
 
細部まで世界設定が作り込まれ、それを無理なく物語の展開とともに披露していく手際が、たいへんお上手です。
特筆すべきは、単なる舞台説明だけでなく、キャラクターが送る日常の細かな点までしっかりと描かれていることです。
ミーティアキトノや貴族、軍人やその家族など、様々な人々の生活というものが手触りを持って伝わって来て、作品世界を豊かにしています。
 
それがキャラクター一人一人の個性にも繋がっていて、小さな癖や話し方、会話の距離感などから人柄が伺える筆致は素晴らしいです。
 
特に主人公のアビスの、それなりの正義感を持ちながらも決してそれを押し付けない、他人の立場や感情へ思いを馳せ、自身を省みることのできる人柄にとても好感を覚えました。
時にそれが優柔不断に見えてしまうところも、ちょうど良いいじられ方に繋がっていて、作品にコミカルな味を加えています。

少女の抱える秘密と、それに関係するのだろう人生に対して虚ろな態度もとても気になり、物語に吸引力を与えています。
 
今後の展開がとても楽しみです。