亡き父の意思を継ぎ、旅をする商人の青年と、その途中に出逢ったエルフとの物語。
まずは、流麗に綴られる街の描写を堪能してほしいと思う。
まさに異国情緒が溢れてくる。景色の移り変わる様、そこに息づく人々、生活する風景、情景が素敵に描かれている。
そんな活気溢れる街に辿りついた主人公。ここまでの旅は成功し、荷物を満載した馬車を、故郷へと走らせていた。
そして、その馬車には、主人公のほかにもうひとり。
旅を始めて二ヶ月を経た頃出逢ったのが、絶世の美女で、毒舌で、妹にしか見えないような雰囲気のエルフだった。
旅の同行者と一年以上も苦楽を共にすれば、恋に落ちるのも必然。
ただ、ふたりの別れの刻は近づいていて……。エルフが求めるものは、一族が執拗に求める西方の謎の解明だったのだから……。
このまま、離れてしまうのか? 答は見つかるのか? そして、ふたりの恋の行方は?
ラストシーンは素敵だった。ふたりの未来に幸せが待っていると、わたしには思えた。