一段落(校庭一周)

 草むしりに最後までお付き合いくださり、お疲れ様でした。


 もっとむしれと言われればあと百でも千でもむしれるんですが、さすがに腰が痛くなってきましたので、このくらいにしときます。


◇ ◇ ◇


 よく一発ギャグと言いますが、笑わせるのが一番大変なのはそいつなんですよ。一発じゃなく四コマ二百文字くらい使えるのなら、そのスペースには十分仕込めます。ネタを考えるのは決して難しくありません。


 ただね。笑っておしまいじゃつまんないんです。使い捨ての笑いには、その重みしかありません。その笑いを、どうやって他の印象に転換させるか。後味をしっかり残すか。短いギャグを印象に残すには、キレを磨くだけじゃなくて何かストーリーを想起させないとならないんです。二百字の中にあえて書き込まなかったシーンを、読んだ人に描いてもらう。それによって、単なる点が線に面にと広がっていくんじゃないかと。草むしりは、わたしにとってそういう練習の位置付けになっています。


 今回は四コマということでそれぞれのシーンを読み切りにしましたが、長い話の中にギャグを入れ込む場合は個々のギャグに意味を持たせる必要が出てきます。そして、ギャグを香辛料として使いこなすのは意外に難しいんです。

 ギャグを主食にする……徹頭徹尾ナンセンスギャグで書き切るという話だと、もっと大変です。読者は、マンネリのギャグにすぐ飽きてしまいますから。書き手がおもしろいと思って書き続けていても、読んでる方はまたいつものだよなと冷めてしまうんです。マンガやアニメなら絵面えづらでマンネリをカバーできますが、文章でそれを表現するのはものすごくしんどいんですよね。


 まあ、そんなことをごちゃごちゃ考えながら、校庭一周分草をむしりました。一話数秒で読める話で、読者に何を残せたか。それは、わたしには分かりません。でも、草はまた生えてきます。一応完結済みにはしましたが、脳みそに草が茂ってきたらまたむしりだすかもしれません。その時は笑ってやってください。ああ、あのおやじ、まあた変なこと始めよったで、と。


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草むしり 水円 岳 @mizomer

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