砂時計の砂が落ちるまで

いくま

砂時計の砂が落ちるまで

誕生日、彼女へ砂時計を贈った。ガラスの容器に入ったおしゃれな砂時計。それは今、僕の手の中にあって、時を止めている。

彼女は亡くなった。持病の悪化、苦しそうに、息を引き取った。僕はただ、手を握ることしかできなくて……あぁ、まだ、実感がない。自宅へ戻ったら、微笑んで僕を迎えてくれないだろうか。




砂時計はさらさらと、時を進め始めた。

僕たちの時間はもう戻らない。そんなことも気にしないでさらさらと…最後の一粒が落ちるまで。

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砂時計の砂が落ちるまで いくま @kicho_ikuma

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