第12話

ここを下れば家に帰れるはずだ。


私は遊歩道へ足を踏み入れた。その途端。


――! !


熱い熱い熱い熱い熱い!


顔、腕、足。全身のいたるところを、今までに経験したことがないような強烈な熱さが貫いた。


私は慌てて引き返した。


皮膚が引き剥がされるような衝撃はなくなったが、鈍い痛みが全身に残った。


見れば腕も足も真っ赤になっている。おそらく顔も。


――?


何がどうなったのか。


私は一体どうなってしまったのだろうか。


困惑する私の前に、黒いスーツの男がいきなり現れた。


まるで何処からか瞬間移動でもしたかのようだった。


男が言った。


「太陽の光は厳禁だよ。死んでしまうからね。君はもうこちら側だ。私の眷属になったんだから」


そう言うと男は笑った。


その口の中に、二本の鋭い牙が見えた。



           終

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暗森の中 ツヨシ @kunkunkonkon

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