ビン☆ウォッチの回

 錬金術師見習い……その見習いの下の方。そんな私の仕事はお店の雑用が多い。誤解しないで欲しいのだが、私は雑用も好きだ。リーダーやオーナーもその点は同じようである。ただ、時々気分がのらない事もあるんですよ。


 今日の仕事は片づけと掃除。結構たまってしまった空き缶や空き瓶、空きペットボトルなどを然るべき手段にて処理すること。


 しかしまあ、これだけ沢山あると何処から手を付けていいかわからないよね……


 えーと……その……とりあえず、分けるところから始めようかな。


 袋は何処だっけ? えーと……探そう。


 ……探す前にお茶を一杯。


 ぷはぁ。


 さーて、袋は持ってきたけど……もう少し必要かもしれない。もう何枚か持って来よう。


 ……その前にお菓子を一つ。


 美味い。


 えーと……ラベルとか剥がした方がいいんだっけ? うーん……剥がすとするか。


 うーん、上手く行かない。水で洗うと取れやすいかも。やってみよう。


 やる前に、ジュースを一口。


 ふひぃ。


 少し片付いたけど、全然減らないな。何でだろう?


 あ、袋が無くなっちゃった。持ってこなくちゃ。


 持ってくる前に、外の空気を吸いつつ漫画を読書しよう。


 あっはは。


 なんかこう、瓶が並んでいるのが綺麗に見えてくるよね。


 このままでもいいんじゃないかな?


 こう、並び方を変えてみたり、パターンを作ってみたり。


 完全にきれいなままって言うのもちょっと不味いんじゃないかな?


 ほら、「水清ければ魚棲まず」って言うし。


 ちょっとくらい汚れていた方が私達も働きやすかったりして。


 あ、なんか音がした。やば。とりあえず動いとかないと。


 ……


 こっちには来なかったみたい。ふう。よかった。


 さーて、仕事に戻る前にお菓子を一口。


 うまい。


 このラベルの剥がれ具合とか、蓋の汚れとかから何かの事件の手掛かりが得られそうじゃない? この文字とこの蓋は実はメッセージの一部で、これを辿っていくと犯人がわかるとか?


 この辺の事を物語にまとめれば、重厚な物語を創れるんじゃないかな? もしかしたら笑える話にもなるかも。


 忘れるといけないからメモ帳を取って来よう。


 取ってくる前に、食糧をちょこっと……


 うまっ!


 さて、メモを取る前にお茶を……


 うまっ!


 ふう、結構時間が経ったんだけど、全然片付いてない。何でだろう?


 ちゃんと働いてたよ。サボってないよ。少ししか。


 さて、気分を盛り上げる為に音楽でも流そうかな。


 確か、持ち運べるプレーヤーとかあったよね。


 どこだったかな……


 ―――――


 あ、いや、その。


 ええ、ちゃんとやってます。やってましたよ。


 え? いや、そのですね。少ないのは分別をしっかりしようと思って……


 はあ、その、修行の一環としてのあれもやれたらと思ってて……


 ええ、それは、その、しっかりと仕上げた後にお披露目をと思いまして。


 え、タイトル?


 タイトルは……その……あの……瓶を並べて……その…


 実はその瓶が『邪悪なる瓶』で、それによって心を乱される……


 そう! 『ビン☆ウォッチの怪』っていうのにしようかな……と。


 ええ、片付いてます。もう眺めるものはありません。あとは出すだけで。


 あ、入っちゃダメです。


 ちょ、待って!


 ヒィ!


(続いたらいいね)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

畑の呼び声 風祭繍 @rise_and_dive

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ