第4話 不死鳥でも歳をとるのですね

校長先生に連れられるまま学校を歩く2人。

往人はとある疑問を抱いたので質問することにした。

「校長に一つ伺いたいのですが、何故休校にしないのですか?」

え?この人何言ってるの?

殺人事件が起きたんだから当然学校は別の理由を発表して休校にするでしょ。

「ユグドラシル魔法学校は休校になんてしませんよ

死体の教頭、ケイジ・クエニスはまた生き返るのですから」

は?教頭が生き返る?

いやいやいや、それは無いでしょ!

人は死ねば必ず生き返ることなんてない筈、それが理なのに・・・・

「あの〜校長先生に質問なんですけど、生き返ると言うのはその〜教頭が復活するという意味でしょうか?」

「そうですよロルさん

教頭先生の一族は代々『フェニックス』を宿す家系でしてね

死んでもまた生き返るのです

ですが、欠点もあり死んだ日から1週間前の記憶が無くなるのですよ。

それに、フェニックスは自分の子供に引き継がれるから子供を授かった時点で普通の魔法使いと変わらなくなりますしね」

フェニックスは不死鳥で有名な伝説の鳥だ。

確かに学校の古い書物に暴走したフェニックスを身体に封印した。

と記されてはいたけど、まさか教頭先生だなんて思いもしなかった。

「なるほど、教頭が生き返れば殺人事件が無かったことに出来るから休校にはしない

しかし、犯人が別の生徒もしくは先生達を殺す可能性があるから調査をして欲しいと言うことなんですね」

「その通りです

なので教頭が死体となっているこの時に犯人の凶器を推測あるいは断定して少しでも事件解決に近づいてほしいのです」

その後校長先生が 死んだのが教頭で良かった などと不謹慎な言葉を言うものだからかなりビックリした。

等と話しているうちに死体現場に到着。

とは言っても死体が見えない。

あるのはただのゴミ処理場とゴミ山だけだった。

「ロル、ゴミ処理場の横にあるゴミ山の1番上半径2mだ

サークル上に魔法の痕跡がある 頼んだぞ」

往人の言った所には確かに認識阻害で使うスペルが書き込まれていた。

しかもスペル完成後にそのスペルを極小にして気づかれないようにしてる。

「さすが、ナミエ先生ですね

普通なら気づかないですよこんな小さなスペルは、逆に言うと往人だから気づけたのもあるんですけどね

それでは、解除始めます」

簡単な魔法ならスペルを描いて行えるが、特殊系の魔法は全て精霊の力を借りなければならない。

両者に共通点があるとすればマナを使う所だ。

私も何体かの精霊と契約をして、特殊系の魔法を行使している。

「風の精霊よ、汝との契約者が求む。

虚像を吹払い 真の姿を我の前に見せよ!」

ロルの言葉が終わると強い風がサークルを囲みたちまち教頭の死体が見えるようになった。

「これは酷いな」

往人の言葉通り教頭の姿は無惨なものだった。

首は切り捨てられ、心臓があった場所には大きな穴が開き、後頭部には打撃の跡がある。

「ロル、ありがとう

少し死体の細かな確認を行なうから休んでていいぞ

それと校長もここからは我々リヴィルの仕事ですので戻られて大丈夫です」

「わかったよ往人君

それでは後の事はまかせるから何かあったら言ってくれ、それと学校の鍵を渡しておくから頼みましたよ」

校長先生は往人に鍵を渡すなり来た道を戻って行く。

私も往人が言った通りに少し休むことにした。

ナミエ先生の認識阻害魔法は思っていたより高度な魔法だった為マナを使いすぎてしまったのだ。

往人が死体確認を終えて私の横に座る。

「凶器と言うか殺害方法は間違いなく魔法だ

教頭の首、胸、後頭部に僅かだが魔法の痕跡があったよ」

「でしょうね、これだけの事を行おうとするのは今の時代では魔法以外ありえません。

一昔前は刃物や拳銃?と呼ばれる人殺しの武器で出来たのでしょ?」

「その通りなんだが、その武器は魔法障壁で防げるから今の時代は魔法で人を殺すようになったんだけどな」

昔は魔法と言う物は認知されていなかった。

私たちの住むこの世界『アナザーワールドガーデン』は二つの世界が捻れて1つにまとまった世界なのだ。

故に名前の綴が漢字の人とカタカナの人が居る。

今では空気中のマナの影響でアナザーワールドガーデンの人々は魔法を使える身体に進化したのだ。

「それで?これからどうしますか?」

「ふむ、教頭に魔法の痕跡がまだ残っていたからもう少し学校を見て回ろう

魔法の痕跡もずっと残っているわけじゃ無いからな時間が経って無くなる前に見ておきたい」

「わかりました」

「それに教頭の遺体何だが少しおかしくないか?」

「おかしいとは?」

「普通、人が仰向けになって寝る時 肩が上がってる方とは反対の方向に首が曲がるものだ

だが、教頭の遺体は肩が上がってる方に首が曲がっている」

往人に言われて仰向けになり右肩を上げて寝てみると確に首は左に行こうとする。

反対に左肩を上げると右に向いた。

「ロルって以外とあるのな」

「・・・・往人は私の胸を見る為に仰向けにさせたのですか?

もしそうだとしたら本部に報告しますね

上司が部下に胸を見せるように命令したと」

「いや!胸を見てしまったのは不可抗力だ!ついつい目が行ってしまったんだ!だから報告するのは無しにしてくれ!!」

「ふ〜ん、まぁ不可抗力なら仕方ありませんね 今日の晩御飯が外食なら許します」

「わかった!ロルの食べたい物がある店に行こう!」

よし!これで晩御飯作らないで済む!

「それでは往人早く魔法の痕跡がないか見て回りましょう!」

正直調査が終わってから二人分の料理を作るのは非常に疲れるので、かなり嬉しいし久しぶりの外食と言う事もあって楽しみが増えて嬉しかった。

私は早く終わらせて外食する為に往人の背中を押して調査に向かうのだった。

後ろにある教頭の遺体が灰となって消えたのは、すぐあとの出来事だ。



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魔法があるからめんどくさい @YUKINOKUROE

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