第3話 飴と鞭とか卑怯です
戻ってきた。
せっかく一時間もかけて事務所に行ったのに、あの上司のせいでこの寒い冬の中を往復するハメになるなんて。
「ロ〜ル〜そんな所で立ってないで早く現場見に行くぞ〜。」
「わ、わかりましたよ!もう!
こっちはこの寒い中、学校と事務所を往復してるんですから少しは気を遣ってくださいよ!!」
などと怒ってみるが往人は意に介さず、構内に入っていった。
構内はまさにもぬけの殻と言うのが相応しいくらいの静けさだった。
今の時間なら部活終わりの生徒達が下校するハズなのだが、職員室に行く道のりまで誰一人として会うことは無かった。
そんな事を考えている内に職員室に到着。
往人がドアノブに手を掛け
「失礼します。
今回の殺人事件を任されたリヴィル所属の西園往人と助手のロルティ・メルリスです。」
往人に続き私も職員室に入る、すると先生達は往人よりも私の方に目を向けていた。
それもそのはず、私がリヴィルに居ることは学校の誰にも私は話していないからだ。
「ロルティさんが往人刑事の助手?」
最初に口を開けたのはナミエ先生だ
「はい
ロルが私の助手、バディ、相棒です。
その様子だと校長から話を伺っていないみたいですね。安心してくださいロルは優秀ですから!」
「往人、優秀とかやめてよ。
それに校長先生は私がリヴィルに居ることを知っているみたいな口ぶりだったけど」
「知っているも何も、ユグドラシルへの編入手続きをしてのは俺だからな
その時に校長にも話を通しているよ。
当たり前だろ?」
往人がそう言うと杖をついて体をぷるぷるさせた老人が前に出て話し始めた。
「往人さんの言う通りですよロルティさん
それでは、ナミエ先生が認識阻害魔法で隠してる教頭の遺体現場見て欲しいのですが、よろしいですかな?」
校長先生の言葉が終わる頃には往人の両目は淡い青色へと変化していた。
これが魔法の痕跡を見ることが出来る目
通称︰露草 又の名を日花
この目は露草色をしているのだが、犯人を見つける際にとある犯人がDayflowerと口を漏らし、それを往人が日花と勘違いしたことからそう呼ぶようになった。
今では本部そしてリヴィルでも日花で通るまでに浸透している。
「今回はやけにやる気なんですね
いきなり日花使ってるじゃないですか
そんなんじゃ往人のマナが持たないですよ」
「大丈夫だ
それにお前が通う学舎なんだから出来るだけ早く解決して学校に行かせないとな」
普段は偉そうで自分勝手な、上司だがたまにこう言う優しい一面を見せるから無理難題を言われてもついつい出来るだけ頑張ってしまう。
「往人の、そういう所は少しずるい」
「俺は元々優しい性格なんだよ
ほれ、早く行くぞ 校長が見えなくなってしまう」
「わかりました
今回は少し頑張ることにします」
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