第1章『始まり-2』


気が遠くなる程の直線をぺたぺたと歩いた。

そして幾ら歩けど扉は愚か、曲がり角すら見つからなかった。

まるで同じ所を永遠とループしている様な錯覚に陥る。


「心が折れた、もうだめだ」


何なんだ此処は、地獄か?俺は死んでしまったのか?

これだけ歩いて何も無いなんて有り得ない。

誰かに話を聞くにも此処には倒れた子供しか見えないし、

その子供も幸い死んでこそいないが、声をかけてもピクリとも反応しやしない。


普段ポジティブな彼も流石に絶望し、その場にへたりと座り込む。


ーーその時、


「誰かいるの?」


凛、と透き通った鈴のような少年の声が彼に届いた。

彼はバッと勢いよく声の聞こえた方へ顔を向ける。

そこには、倒れている子供と同じくボロボロの服を着、手と足に枷をつけた金髪の美少年が立っていた。

暗闇でも分かるほどの、美形。

不覚にも見蕩れてしまい反応するのが少し遅れる。


すると美少年は俺を見つけるや否や目に涙を浮かべ、ベッドにダイブするかの如く飛び込んで来た。


「良かったーー!」


「う、うわ!ちょっ待っ、痛え!!」


「よ゛か゛っ゛た゛!よ゛か゛っ゛た゛よ゛お゛ぉ゛!」


「わかった、わかったから落ち着け、頼む」


「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛」


大洪水である。

顔を擦り付けられた肩は最早涙か鼻水か涎か分からないほどビショビショに濡れていた。


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ワールド・クリエイト 家無 まるお @ienakiomr

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