第1話『始まり-1』
変則的に訪れる大きな振動により目が覚める。
「んあ、地震?…痛っ」
突如頭を強く打ち付けたかの様な鈍痛が襲い、視界がグラグラと歪む。迫り上がってくる胃液を必死で飲み込み、吐くまいと深く呼吸する。
「う、おえっ、気持ち悪、二日酔いかな」
何度か繰り返しようやく少し落ち着いた頃、
自分の手首と足首に掛けられている枷に気が付いた。
「うわっなんだこれ」
金属製で動かすと鎖がジャラジャラと不快な音を立てる。
警察が常備している手錠とは違い、まるで漫画やアニメに出てくる奴隷が付けている枷に似たものだ。酔った勢いで呼んだデリヘルのチャンネーにでも付けられたのだろうか。
キョロキョロと辺りを見回すと、暗く先が見えない空間の中、ボロ雑巾のような服を着せられ自分と同じ枷を付けた数人の少年少女達がぐったりと横たわっている。
「うん、そもそも俺の部屋でもないな、何処だよ」
今の状況を必死に整理しようと、ここに来る直前の記憶を辿るが何一つ思い出せない。
もしかしてまだ夢の中かもしれないと頬を抓ってみたり、鼻に指を突っ込んでみたりもしたが、何時もの爽やかな朝は訪れることは無く、目の前の光景は何も変わらなかった。
「いやー、困った」
とりあえず、此処は何処なんだ、何故こんな所に俺は居るんだーー
などの疑問はどれだけ考えても解決しないと分かったので置いておく。
となれば後は、
「よっこらしょっと」
自分の目と足で確かめるしかない。
この空間が何処かの建物やその一室だと仮定すると、壁伝いに行けば扉がある筈だ、運良く鍵がかかっていなければ外に出れる。
そんな希望を胸に、枷で重たくなった足を引き摺りながら、ゆっくりと歩き出す。
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