ワールド・クリエイト
家無 まるお
第0章『終わり』
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「おかあさん、おれ、おおきくなったらまんがかになりたい!」
『そうね、明は絵が上手だものね、きっとなれるわ。どんな漫画を描きたいの?』
「うんとね、まほーがあるくにで、さいきょーのゆうしゃがたびをするはなし!ずーっとたのしくて、ずーっとさいしゅうかいがこないはなし!」
『面白そうね、でも何で最終回が来ないの?』
「だって、ずっとつづいてれば、ずっとわすれないし、ずっとたのしいのに!おれのすきなものぜーんぶ、すぐおわっちゃうから、おわらないはなしをつくる!」
『あらあら、それは仕方ないことよ?始まりがあれば終わりもあるんだから。それにほら、クライマックスも重要よ?』
「そんなことないもん」
『お母さんは、明が作ったお話は、ちゃんと終わりまで読みたいもの』
「うーん、うーん、わかった!じゃあがんばるから、できたらぜったいみてね!やくそくだよ!」
『うん、約束ね』
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少年は辛うじて原型をとどめている母親だったモノの顔を見る。
買い物に出かけていた母親は、横断歩道を渡る際、信号を無視したトラックに跳ねられ即死。
あまりに無残な死体に少年を除いた親戚一同、誰も棺の中を見ようともしなかった。
少年は母親の言葉を思い出すーー
『始まりがあれば終わりもある』
少年は思うーーー
「好きにならなければ、別れを悲しむことも無い」
そして、
「始めなければ、終わらない」
ーーーと。
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