第7話 御子柴

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 いっしゃイ!まってたヨ!

 ずっト、ずぅっト!

 かわいいかわいい子羊ちゃン!

 さア!すてきなティーたいむヲ!

 この「Wonder Mind」デ!

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 …頭が…痛い。鈍く、ズンと重くのしかかってくるようだ。


 …ん?のしかかってくる?

 目を開けると、目の前に真っ白な尻尾が垂れている。

「っ!?」

 飛び起きると、どうやら、狼みたいな動物が俺の頭の上に乗っていたらしく、

 その動物は、驚いて、俺と同じくぴょんと跳ねた。


「よぉ、目が覚めたか。」

 椅子にゆったりと腰掛けていた、俺と自殺したはずの男がいた。


 全く訳がわからない。


 辺りを見渡すと、どうやら図書館みたいな部屋だ。本がぎっしりと、そこらじゅうにある。難しそうな分厚い本ばかりだ。

 そして、俺はソファーに寝かされていたらしい。


「…どうして…?」

 と言葉をこぼすと、

「クスッ」

 と、面白そうに笑う。


「まさか、ここが天国だ、

 なぁんていうふざけた答えを待ってる訳じゃねえよな?」

 木で作られた洒落しゃれた椅子から立ち上がり、コツコツとこちらの方へ向かってくる。


「ここは、Wonder Mindだ。」

 グイッと俺の顎に手をかけ、上を向かせる。

 呆気に取られた俺は、微動だにできない。


「俺の事、分かんない?」

 至近距離で囁くように言われる。


 ……!

 ……あ、分かった!

「学年1イケメンの御子柴みこしばくんだ。」

 そうだそうだ。全てにおいてイケメンと呼ばれる、かの有名な御子柴 巴衛ともえ


「っ~~!

 今は、そーゆーこと聞いてんじゃねえよ!」

 と、突然ぱっと手を離し、そっぽを向く。


 そして、ボソッと、

「…出かけるぞ。」と、椅子に掛けてあったコートを羽織はおり、ひるがえす。

「呑気にしてる場合じゃない。」


「は?どこに?ちょっと待て。

 俺は、何も理解してない!それに俺、

 なんで生きて…」


「だまれ。」

 と、すっと冷めた目で見られる。

 射竦いすくめるような鋭い目。

 まるで、狼。


「状況を理解する?

 そんなの無理に決まってる。

 話す必要は無い。」

 と、言葉短かに突き放される。

 だが、ここで負ける訳にはいかない。

 質問の言葉を、ぐっと呑み込む。


「…じゃあ、これからどうすればいい?」


 クスッ。

「そうこなくっちゃな。」

 と笑う。


「ただの人助けさ。」


 そう言うと、かんぬきを抜き、重そうな扉をギィーと開けた。その後を、真っ白な狼が付いていく。


 スゥッと光が差し込める。

 俺は、不安なまま彼の背中を追いかけた。

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Wonder Mind アビト @Abito

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