お土産!です!

 ゴールデンウィークも明日で最終日。今日まで私たち四人はみんなが言う都会の札幌を満喫していた。私的には修学旅行で行った東京に比べたら全然都会じゃないけど、みんながはしゃいでるからそれはそれでいいか。


「で、明日の朝には帰るんだけど、みんな身支度済ませたの?」

「あ、待って葵ちゃん、今お土産かばんに突っ込むから」

「美雨あんた……そのお土産って自分にでしょ?ほとんど電子機器ばっかり……」


 合間を見つけて色々な家電量販店に顔を出していた美雨だけど、いったい何を買ってるのかさっぱりだ。ただ一言言えるのは間違いなく、総額が六桁……つまり10万円を越えているということだ。


「美雨あなた、どこからそんなお金出てるの?」

「ギクッ!」


 私リアルでギクッ!って言った人初めて見たんだけど……これってギャフン!くらいに希少じゃない?その後先輩二人の方を見ると雪野先輩はなにか大量の紙と格闘していた。


「雪野先輩なんですかそれ?紙……いやクーポン券ですね」

「そうなんだー、街で片っ端からもらってたら使い切れなくてさーへへへ」

「へへへじゃありませんよ、もって帰っても使えないし、カバンに詰め込まなくても捨てればいいじゃないですか」


 すると雪野先輩は何を思ったのか自分の体で被さるようにして大量の紙を隠す。こちらに向けられる視線は確実に敵を見る目だ。


「私の旅行の記念にとっておくんだから捨てちゃダメだよ!」

「雪野先輩って物捨てれない人なんですか……後で捨てるとき後悔しますよー?」

「いいの!」


 逆ギレされた……まぁ考え方は人それぞれか……明日雪野先輩の部屋に行ってみよ。意外なのは岸辺先輩の荷物が少ないことだ。てっきり色々買い込んでいるものかと思ったけれど……


「岸辺先輩、ずいぶん身軽ですね」

「私は宅配サービスを使ったから~明日の夕方に全部アパートに届くのよ~」


 なるほど、一番賢明な判断をした人がここにいた。多少出費はかさんでも身軽で帰った方が旅行の最後を楽に締めくくれる。あんな山の上まで運ばされる運送会社の人は、正直ご愁傷さまですとしか言いようがないけれど……


「それにしても先輩、宅配サービスなんてよくわからないから使いたくないとか言いそうなのに、意外ですね」

「あら~!葵ちゃんってば、私のことトロイから難しいことわからないってバカにしてる~?」

「いえ、そんなつもりは……」


 なくもないけど……でもこの人の場合、本音を伝えると怒るより泣かれそうで、言うに言えない……


「そういう葵ちゃんはなんにも買っていかなかったね」

「そんなことないよ?充電器とか、小説とか、それなりに買ったよ」


 そう言って私はキャリーケースを開き、中に詰め込んだいくつかの日用品や携帯関連機器、調理器具に小説の数本を見せるけれど、みんななぜか納得いっていないようだ。


「あおっち、なんも買ってないんだね」

「葵ちゃんまるで近所の商店街の帰りの荷物よ……」

「え、そんなことないと思いますけど……」


 小説は普段は一冊ずつしか買わないし、今回は五冊も買った。充電器も100円ショップの安物でなく、家電量販店の良いものを買った。調理器具だって色々新調した。私的にはそうとう買い込んだつもりだ。


「葵ちゃんって~、案外無趣味よね~」

「なっ!?」


 む、無趣味……!?いやいやそんなことはない!私は小説を……いやこれ最近のマイブームか……でも私の趣味は……趣味は……


「帰ったらあおっちの趣味を発掘だね!」

「そうね~良いものがないか調べてみるわ~」

「葵ちゃん!帰ったら面白いアニメとかゲーム見せてあげる!」


 ど、どうしよう……面倒な方向に話が進んでいる気がする……

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かまくら部!! ケイケ @wizardwing7

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