1話ごとの文章が1000字以内と短めでよく纏められており、毎回ごとに謎を膨らまし、読者さんを次々に誘うようなうまい展開です。
舞台は、とあるきっかけにより、石になってしまった住民を相手に色んな行動を示す主人公。
ただし、物語の流れは非常にゆっくりと進んでいくので、ある程度まで読まないと、内容がよく掴めないのが難点です。
それで読みやすいように物語を小分けしているのかなと感じています。
文章を読み、飽きる前に次へ持っていく。お客さんがネット小説を読むときの心構えをよく理解していますね。
そう、読みやすさとお手軽さの比率は他の小説よりすばぬけており、その点に関しては星三つでは足りないほどの優れた作品ですね。
生物を石に変える「死の風」。
風の脅威の爪痕が残る地域、メトリタスに訪れた初老の男・リヌクは、1人の少年と出会う。
先の見えない真っ暗な空間の中を、誰かに手を引かれ進んでいくような展開が特徴。リヌクの行き先や少年の背景、そして死の風の詳細など、気になる要素がたくさんあるが、この作品の魅力はそれらの要素を追って行く事だけでは無い。
全体的に退廃的、そしてどこか神秘的に綴られていく物語は、まるで他次元の世界から何かの拍子で飛んできた書物を読んでいるかのような昂揚を生み出してくれる。
終わらない物語の中で明滅する、生命の鼓動を感じてみてください。