春なんて、来なければいい。

西木 草成

 


 春なんて、来なければいい。


 思い出を踏みつけたこの場所に出来た道なんて、何の価値もない。


 毎年咲かせるこの色が鬱陶しくて、


 でも、地面に広がっているそれはただただ綺麗で。


 それでもこれを踏みつけて歩かなくてはいけないとは、


 終わりから始まったこの季節にぴったりの道だと思った。


 想いは消えなくて。


 どれだけの思いと悔しさがこの道を濡らして行ったところで。


 どこまで行ってもこの想いは冷めそうにない。


 踏みつけよう。


 散らかしていこう。


 歩いているこの道に、どうせまた春が待っているのだろう。

 


 

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春なんて、来なければいい。 西木 草成 @nisikisousei

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