消えゆく記憶と意識
──最後に考えを巡らせたのはいつだっただろう。
気づいたら世界は鉄の山の中を鉄のイノシシが走っていた。
記憶なんてとっくの昔に消えた。
最後に全てを思い出して、それから知ったのは『ノアの箱舟』なる本だった。
昔の記憶と繋がり、すべてに納得した。
そこから記憶はほとんど消え、今は何も覚えていない。
「ん?」
ふと目に入ったのは新世界の神になりたいと願う少年。
そして次の瞬間自分の周りも作った世界も崩壊していく。
崩壊を止めることは出来ず、神としての権限をすべて失ったかのようなただの無力な置物となってしまった。
そして崩壊がおさまった時遂に自分の居場所さえ壊れて無くなった。
「あぁそうか。あれが自分なんだ……。」
消えゆく意識の中で思い出した唯一の記憶は酷く後味の悪い混沌としたものだった。
終末の幸福商店 小鳥遊 夏樹 @AKANEtsukineko
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