Big Apple
「おいおい、今時リンゴかじって顎はずす奴なんていねえよ!」
めちゃくちゃに笑われた。
重複するが、僕は今リンゴにかじり付こうとして、顎をはずした。もちろん、顎をはずすことなど滅多にない、というよりも、今まではずしたことはないのだ。はずしてしまうと癖がつくと言うが、まるで初めて、これが顎がはずれるというのか。
とりあえず最寄りの接骨院を探そうとしたが、あいにくここはアメリカ、接骨院などない、というより、接骨院って英語で何と言うのだろう。そもそも、僕は今どうして日本語で考えているんだろう。接骨院なんて初めて聞いたぞ。
さっき言われたセリフも確か英語で聞いていたはずなんだけど、どうしてか日本語で繰り返してしまっている。で、もとの英語がどんなものだったか全く分からない。ボブはなんて言っていたんだっけ。どうであれ、めちゃくちゃダサいというのは日本語でも分かる。というか、日本語になると数段ダサい。ボブ、すごく格好悪いぞ。
まあ、今ナターシャが必死に顎を戻そうとしてくれているのだけど、これほとんど首もとチョップだな。痛い。すごく痛い。幸いなのが口が大きく開いているもんだから呼吸がものすごく苦しい訳でもないことだった。
ただこのまま首チョップを食らい続けても顎は戻らないので、何とか声をかけてやめさせたい。
「あふぁーはっ、ひょっほほへふひひょっふひぅあっへふ」
あ、駄目だ、発音が全然なってない。
「あおいやっへふへ、あおい」
全然止まらない。
「あおあお、あお!」
ガキッ!
偶然顎にヒットしたナターシャのチョップが、何とか顎を元に戻した。勢い余って言おうとした言葉が飛び出す。
「顎に当ててくれ!首じゃなくて!」
ボブとナターシャがキョトンとした。
…日本語だこれ!
ミニフィクション・ギャグ 小書会 @kosyokai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ミニフィクション・ギャグの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます