面白うて やがて愛しき 浅葱町

ネギだ、ワケギだ、いやアサツキだ!

アサツキこそ美食、
アサツキこそ歴史、
そしてアサツキこそ人生……な浅葱町は異世界である。
ただし魔法はない。

主人公達子は公務員をしながら小説家を目指している。
アーティストのケイに召喚?されてこの異世界に足を踏み入れるのだが。
そのあまりにも微妙なパラレルワールドぶりとアサツキ無双に最初は辟易しながらも、浅葱町と元の世界を行き来するうちに、次第にこの町とアサツキスメルに馴染んでいく。

なにしろテンポが良くて親しみやすい文体と、謎解き要素にも惹かれて、どんどん読み進めてしまう。というか、読まずにいられなかった。

しかい浅葱町の住人やケイとのコミカルなやりとりの中にも、主人公が自分の生き方を問うくだりにはドキリとさせられる。

それにしてもこの浅葱町、ただのアサツキではない。
騒々しくも愛すべき人々、そして浅葱猫タマとは、
読んでいる私もいつの間にか離れがたくなっている。

高級ブランドアサツキ、食べたいです。