明日バケモノになる君へ

華林檎

第1話 はじまりは

拝啓

お元気ですか

僕は元気です。もしあの時君をとめられていたら君は君のままでしたか?

君はただ見ていた僕を恨んでいますか

もし君があの頃の君に戻るのならば

僕はもう1度君と話がしたいです


これは僕が君に書く最初で最後の手紙


僕がまだ学生だった頃

君に声をかけられた

その日から僕の平凡な日常が壊れていった


僕はいつものように短い休み時間を

ヘッドホンをしながら過ごしていた

友達がいないわけでもなく

だからといって騒いでられるキャラでもなく

好きな音楽を聴きながらぼーっとする

それが僕の日常

そんなある日

その日は朝からずっと雨

雨はやむ日まもなく振り続けていた

「…」

誰かが僕の前に立った

僕が顔を上げると彼はニコッと僕に微笑んだ

最初は何が起こっているのかわからなかった

言い方が古いとバカにされるかもしれないが

ほんとに時が一瞬止まったんではないか

と言うくらいびっくりした

目の前にいた彼は僕とは天と地と言っていいほど僕とは位の違う

両親は大きな大学病院の先生で家は金持ち

顔は男の僕でも見とれるくらい綺麗に整っていてうんどんも勉強も得意で

学校の生徒会長

それに比べて僕は普通の家庭に生まれ

毎日バイトに費やしてる日々

顔もいい訳では無いし勉強も運動もこれと言って普通特に取り柄はない

そんな僕に話しかけてきたのだから

驚かないわけが無い

「宮村 碧くんだっけ?」

「そうですけどなにか」

「君に僕の友達になってほしいんだ」

何を言ってるのか意味を理解するまで時間がかかった

いきなり来て友達になってほしいだなんて

…これが僕と君の初めての出会い

これがきっかけに僕の人生は少しずつ崩れていくなんて

考えてもみなかった

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