第100話 第一部の最終話です。

 もう、泣けてくるなぁ…。と、ボソボソと呟きパスを入れて言ってきた。

 「で、もう1人は誰にする?」


 ふむ…。

 暫らく考えて、そいつの名前を言う。

 「潤!」

 と言うと、ユタカは笑ってきた。

 「わははっ…、そりゃいいや。絶対に破られないな。すると、これが最後の更新になるな」

 そうだなと返した私は、潤を呼びに庭に出た。


 そのコンピュータルームでユタカが呟いていたのは、誰も知らない。

 「でも、あいつらこれで良いのか。もう更新は出来んぞ。

 しかも、トモの奴。本当に、俺様な文だな…。

 しかも、何、この最後のセリフ。

 自分の母親の歌詞を丸々パクッてんじゃんか…。

 っとに…、この歌、私も好きな歌だから許してやるか…。

 これ、あいつらに見せると泣きつくんだろうな」


 潤はどこだろうと思い、見回してると…、5人姉兄弟の長男のヨウイチと、孫が生まれるユウマと、3人兄弟の長男のカズキの3人が、潤の遊び相手になってるのが見える。やはり兄弟が多いと、子供の扱いが上手いよな。

 「潤、ちょっとおいで」

 声を掛けると、3人が行ってらっしゃいと手を振ってる。


 「あ、そうだ…。あのデータ、あれで良いのか?」

 皆に聞くと「もちろん、なんで?」と聞き返されて答える。

 「こいつに最終パス入れさせるのだけど…」と潤を指さす。

 それを見て納得したのか。

 「なるほど、最終更新になるのか…」

 皆、分かってるんだな。

 全員からOKと返事を貰ったのでユタカの所へ行く。


 潤には手を洗わせ、コンピュータルームに連れて行く。

 今回が最終更新になることを皆に言ったら、OKとの返事を貰った。と伝えると「分かった」とユタカは言った。


 そして、潤はユタカに言われるまま、そこにパスを入れていく。

 博人さんのを含めた11人のデータに。

 まだ小さい、自分の人差し指を当てて。


 絶対に、誰にも知られないパスだ。

 潤の人差し指の指紋と潤のDNAの遺伝子を一緒に当てはめてパスにする。

 それは、遺伝子を6年間研究してきた私達10人だからこその、特別なパスだ。


 なにやら潤とユタカは、2人でコソコソとしてる。

 まあいいけど…、と思っていた。

 その後、私だけでなく、サトルやワンも巻き込んでの大騒動に…。

 (そのとんでもない大騒ぎは、番外編にて。)



 だから、あの時フィルに言ったんだ。

 『当てはまらない。パスは私自身だから』だと。

   



 そして、ここからまた始まる。


 俺様風味なボスとなった私、福山友明(41歳)の話しが。

 恋人である博人さん(55歳)を連れての話しが。

 そして、息子である潤(3歳)も付け加えた話しが。



  告白するよ。


  君よ、側に居て。

  これからも…。


  いつまでも、一緒だよ。

 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺様ボスと私の恋物語 福山ともゑ @asami_f

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ