第99話 皆への、お返事

 誰の気配も感じないコンピュータルームで1人になった私は、追加分を打ち込んでいった。


 ☆ボス(=トモこと、福山友明 7/27生まれ)

 福岡(医師)→シンガポール→パース(オーストラリア)


 『この私が、ボスだ。

 ボス命令だ!誰にも文句は言わせない。

 ※ヨウイチ→悪いが、私の右腕はすでに居る。ラーメン屋の件は応相談だ。

 ※サトル→優介の事は頼んだ。よろしく。

 ※マサ→お前は大学時代から頑張り屋だったからな。辞めるのか、もったいない!そうだな、お前なら引く手あまただろうな。GPドクでも良いし考えとくよ。

 ※ユタカ→多忙だろうが、無理せずやってくれ。

 ※ユウマ→サンキュ!…お前、手が早いんだな(^^;; )ユウマ家に幸多かれ!!

 ※タカ→スペシャルの方へ言ってくれ。メスオペは、クリニックには必要ない。

 ※ジュンヤ→モデルも芸能人も華の時期は短いからな。自分のやりたい事をやれば良いよ。

 ※カズキ→私も、シンガポールで死んだ。声が出なくて苦しかっただろうが、でも出るようになって良かったな。私の左目は治らないが、そう言ってくれると嬉しいよ。ありがとう。

 ※ワン→私は不死身か?でも人間は…、いつ、どうなるか分からないものだ。香港に戻って跡を継ぐ時は、いつになるのかな?でも、表と裏の仕事…どっちを継ぐんだ?


  お前ら、死ぬなよ! 生きろ!!!


 ※ヒロトさん→不器用で天然でおちゃらけなマジメドクター。

 ありがとう。私には、貴方の存在が一番の薬だよ。あの時、シンガポールで確信した。


 ねぇ、博人さん。

  Hand in hand with me. 告白するよ。

  君よ、側に居て。

  これからも・・・

  いつまでも with together. 』



 「ユタカー」

 呼ぶと、すぐにやってきた。

 「よろしく」

 ユタカは、私の打ち込んだ画面に目を向けると、そのまま止まってしまった。

 

 「どした?」

 そういうと、ユタカは抱きついてきた。

 泣いてるのか、この男が。なんて珍しい。

 「珍しいな。お前が泣くなんて…」


 ユタカは嗚咽しながら言ってくる。

 「だって…、だって…」


 ひとしきり泣いた後、私の顔を覗き込んでは言ってきた。

 「これは、データバンクだ。メールとかチャットのつもりで返事を書くな!知ってるくせに、このまま保存するんだぞ」

 睨んでるつもりでいるようだが、目はニヤついてる。


 おっと…。

 「そっちかよ、感動して泣いてるのかと思ってしまったではないか。

 紛らわしい」とユタカに言ったら、即答されてしまった。

 「こんな風に書くからだっ!」と。

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