最早ラブコメ学園モノのテンプレはここに全て収録されるのではと思わずにいられないアイデアの宝庫、それがカクヨム史上屈指の神憑り的執筆ペース(現時点での最新作はなんと9.5冊目……!)を誇る今シリーズなのであります。
今回は部活探しということで、古くはハイスクール!奇面組のクラブ挑戦シリーズですか(懐かしすぎる)、近年だと……うう出てこない残念。とにかく、あんな感じのハチャメチャ活劇を期待しつつ読み進めていると、もちろん奇面フラッシュに匹敵する必殺フレーズの応酬に抱腹絶倒は不可避なのですが、そんな中にあって不意にハッとさせられる瞬間が訪れるのも事実。茶道部のエピソードに顕著な、まさに禅の境地のような超展開。このヒロイン、理屈抜きで世界の真理を会得しちゃってることがよく判ります。
とはいえ飽くまでラブコメが本筋なのですから、まずは大いに笑いましょう! 花の数ほど部活動はないけれど、笑いの数だけ部活の思い出は増えていくのですから……。
今回は穂咲ちゃんが、つぎつぎと部活に体験入部するお話。
が、そこはそれ、あの穂咲ちゃんのこと、つぎからつぎへと珍妙な事件を起こし……。
というわけで、「5冊目」です。
今回は、一見はちゃめちゃな穂咲ちゃんが、じつはその素直なハートの奥にはとても大事な物がすでに宿っているというのが隠れたテーマ。
料理部のつくった見事なお膳に、とても大切なものが欠けていることを見抜いたり、茶道部ではなんの知識もなく正確な作法でお茶碗回したり、弓道部では、そうです、弓道は的に当たらなくてもいいんです!
新陰流の流祖上泉信綱はいいました。
「普段稽古が見苦しくとも、盤石の下に敷かれても滅さぬ心を持つ者こそが名人である」と。
そんな極意をすでに会得している穂咲ちゃんが選ぶ部活は果たして何か?
そして、日誌の最後に明かされる道久最大のピンチとは?
ってな、感じで、今回もゆるく、ほんわかと秋山が立たされ……てないですね、ハイ。