人魚を殺して王になれ

作者 淡島かりす

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★★★ Excellent!!!

『その国の王族は、人魚を呼び出すことで王位継承候補となる』

作品概要の最初に書かれている文である。
人魚、と聞くとまず私の中に浮かんだのはアンデルセン童話の『人魚姫』、あるいは『赤い蝋燭と人魚』などだろうか。
いずれも人に憧れた、どこか儚く、切ない物語の主人公である。
だが、この作品に出てくる人魚は断じて違う。
そもそも主人公が召喚してしまったのは、人魚ではなく悪魔である。
とびきり可愛く、我儘で、そして強かで容赦が無い。その可憐さと巧緻さは、まさに『悪魔』と称するに相応しい存在であると言えよう。
主人公であるローテム第四王子と王位をかけて競う、他の王子や姫が持つ人魚達も、彼女に負けず劣らず個性的である。
だが、我々が「人魚」に持つイメージとはどこか異なる。

人間と人魚、そして悪魔。
それぞれの思惑が絡み合い、一気に解けていくタイトル回収の瞬間は、秀逸の一言に尽きる。

★★★ Excellent!!!

人魚と間違えて悪魔を召喚してしまったローテム第四王子。
仕方がなく王位継承争いに首をつっこむはめに。

軽快なノリのストーリーや会話の中に、悪魔さながらの不穏な言葉が混じり、非常にすっきり爽快に話が進んでいきます。
初めのうちこそ、ローテム王子が振り回されているようにも見えますが、板についた怠惰の前では、リリィちゃんの愛らしさも無力です。エピソードも4までくると、振り回されるどころか良いコンビに思えてきます。

リリィちゃんが度々口にする人魚の思惑とは何なのかを考えさせられつつ、怠惰な王子の王位継承争いの行く末が楽しみな作品です。

★★★ Excellent!!!

うだつの上がらない第四王子ローテムが召喚してしまったのは、王族伝統の人魚ではなく、悪魔だった……!
召喚しただけで処刑レベルのその失敗を隠すために、ローテムは目指す気もなかった王位継承を目指すことに。
人間や人魚とは価値観が異なる悪魔リリィに振り回されながらも、
ローテムの継承順は着実に上がっていく。
控えめ、平凡……そんな風に生きてきた主人公ローテムだが、その実はつまり「怠惰」。
怠惰と悪魔が手を組んでしまうとこうも恐ろしいことになるとは……。
主人公らしい主人公の、そんな黒い面も予感させられるのが本作のいいところである。
タイトル通りのダークなファンタジー。
前作も面白かったけど、今作の美学もイイですね!