第17話 おーい、僕はここにいるよ

智也のうちから帰ってきて、うちでゲームしながら、どうやったら、ドッジボールで智也がボールをとれるようになるか、ずっと考えてたんだけど、眠くなって途中で寝ちゃった。


 次の日、なぜだか、昨日の、智也のお母さんの海の話を思い出して、高いところから海を見てみようって思ったの。


 それで、学校の帰りに、一人で寄り道して、学校の裏山の神社に上ったんだ。


 神社は、石段がすごく長くて、下からは森しか見えないんだ。ここには、小さい頃にパパと一緒に行ったことがあるんだけど、そのときは、途中で歩けなくなってパパにおんぶしてもらったの。


 今は、もちろん自分一人で上れるけどね。


 石段の上には、小さなお堂がぽつんとあるだけなんだけど、後ろを振り向くと、木と木の間から、でっかい海がドカーンと見えるんだ。

 大きな空の下で、海がキラキラ光ってるの。水平線が、ぎゅーんと、横に一直線に延びててすごいんだ。

 なんだか、すごく嬉しくなったの。それで、大きな声を出してみたの。


 「おーーーい、僕はここにいるよーーー」


 自分でも、訳が分からないんだけど、急に大きな声をだしたくなったんだ。

 誰に言ってるのか自分でも分かんないの。

 おかしいでしょ。


 「おーーーい、僕はここにいるよーーー」


って、また、叫んでみたの。

 そしたら、すごくすっきりしたんだ。

 

 明日は学校休みだから、パパとドッジボールすることになっているんだ。


 パパに速いボールの投げ方を教えてもらうんだ。



               (おわり)

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おーい、僕はここにいるよ 江坂潤 @jun-e

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