第16話 智也のお母さん
ドッジボールをやった日の学校の帰りに、海斗と一緒に、智也のうちに遊びに行ったの。
本当は、学校の帰りに寄り道しちゃダメだって言われているんだけど内緒ね。
智也んちは、漁港の近くなんだけど、漁港からちょっと坂道上っていくと小さなパン屋があってね。そこが智也のうちなんだって。
「○○ベーカリー」で看板が出てて、後で、パパに聞いたら、ベーカリーってパン屋っていう意味らしいの。
智也のうちに入ったら、智也のお母さんがいてね、僕らの名前を知ってたんだよ。智也が教えてたんだ。
智也のお母さんは、僕のこと「雄太君」て呼ぶんだ。
僕は、今まで、小さい頃は「雄ちゃん」、今はみんなに「雄太」って呼ばれてて、「雄太君」なんて呼ばれたことないの。
ちょっと変な感じがしたんだけど、お兄さんになったみたいでちょっとだけ嬉しかったんだ。
智也のうちでは、智也が持ってるゲームを3人でやったの。まだ、新しいやつで僕も持っていないやつだったんだけど、智也って、すごくゲームがうまいの。海斗と2人で、「すげー」「すげー」って言ってたの。
智也のお母さんがジュースとパンを持ってきてくれたの。オレンジジュースは、いつも僕のうちで飲んでるやつと違って、本物のミカンの味がして、すごく美味しかった。パンもすごくふんわりしてんの。
あと、箱にはいったチョコレートも出してくれたよ。
それでね、智也のお母さんって、首に、緑色のガーゼみたいなのを巻いてんの。
後で、パパに聞いたらスカーフっていうらしいの。
ちょっと変だよね。
この辺で、首にそんなの巻いてる人なんて見たことないしね。でも、本当は、ちょっとかっこいいって思ったんだ。
帰りにね、智也に、「また、明日ドッジボールやろうって」いったら、「やろう、やろう」っていってたよ。智也もドッジボールが好きでよかったよ。
あと、智也のお母さんが
「この辺の海はすごく素敵ね」
って言うんだ。
僕らはずっと海の近くにすんでいるから、海が素敵かどうかなんて考えたこともなかったよ。
後で智也に聞いたら、智也のお母さんって、大学の時に、友達と海を見に行って、それから海が好きになったんだって。
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