利き腕の有利・不利について
※解説は間違っている可能性があります。あらかじめ、ご了承ください。
※長い説明が必要ない方は、最後の方の「●まとめ」の部分まで進んでください。
●右投げの方が多い
日本人に限らず、人間は右利きの方が多い。そのため、右投げの方が多くなる。
なお、野球選手には「左利きだけど右投げ」という人も珍しくない。「左投げだと不利」とされるポジションが多いからで、野球を始める時に右投げにしたためだ。
ボールを投げる方向を大ざっぱに「前」「後ろ」「右」「左」と分けた時、前や後ろは利き腕の違いによる差はない。
しかし、右投げは左に投げやすく、左投げは右に投げやすい。横に投げる時に、利き腕による有利・不利が発生するのである。
また、グローブ(ミット)が右手にあるか左手にあるかでも有利・不利が変わって来る。
●利き腕側には投げにくい
右側30メートル先と左側30メートル先に人がいるとして、その人にボールを投げるとする。
(塁と塁の間は27メートル強)
右投げの人ならば、左側にいる人にボールを投げやすいはず。左投げならば、右側に投げやすいはずだ。
通常、ボールを投げる際には、利き腕じゃない方の足を投げたい方向に向ける。
右投げの人は、前に投げたいなら左足を前に出して投げる。左投げであれば右足を出す。利き腕がどちらでも、前には投げやすいはず。
右投げなら、左足を左側に向けるのは簡単なので、左側に投げやすい。体も左に回転し、右腕も左に振る。体の動きと腕の動きがどちらも左に行くので、体の向きを変えながら送球出来る。
反対に、右投げは右側には投げにくい。右側に投げるためには、体の向きを変えて左足を右側に向けないといけない。体は右回りになり、腕の動き(左回り)と逆。そのため、体の向きを変えて体勢を整えてからじゃないと投げられない。
利き腕側に投げる時は、体の向きを変えるという動作が必要になるので、投げるまで1テンポなり2テンポなり遅れてしまう。
(すぐ近くであれば、体の向きを変えなくても投げられる)
※左投げの場合は右投げと逆になる。左側には投げにくく、右側には投げやすい。
●左投げの選手はポジションが限定される
野球には9つのポジションがあるが、どのポジションにも右投げの選手はいる。スタメン全員が右投げでも不思議な事ではない。
しかしながら、左投げの選手は、ほぼ100%がピッチャーかファーストか外野手である。スタメン全員が左投げという事はまずない。
「キャッチャー」と「セカンド・サード・ショート」で理由は異なるが、これらのポジションは「左投げは不利」とされている。
外野手の場合、横方向に送球する事は基本的にないので、右投げでも左投げでも大した差はない。
ピッチャーの場合は、どのチームでも右投げも左投げも揃える。「右ピッチャーばかり」「左ピッチャーばかり」というチームは、トレードなどで足りていない方のピッチャーを獲得するはず。
●ピッチャーは左投げ率が高いポジション
一般的に「右ピッチャーは右バッターに強く、左ピッチャーは左バッターに強い」と言われている。
相手が右バッターなら右投げが有利で、左バッターなら左投げが有利という事になる。もっとも、右ピッチャーに強い右バッターもいれば、左ピッチャーに強い左バッターもいる。
プロのピッチャーは、25~30%が左投げ。日本の左利き率はせいぜい10%なので、それと比べると、だいぶ高い割合になっている。
(左利きでも右投げという事もあれば、右利きで左投げという事もある)
※プロ野球選手の利き腕の割合(↓)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884198528/episodes/1177354054894985193
※メジャーリーガーの利き腕の割合(↓)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884198528/episodes/1177354054895128054
少年野球の段階で、左投げで野球が上手い子はピッチャーを勧められる事が多いと思う。中学生や高校生でも、左投げで肩が強い選手はピッチャーを勧められる事が多いと思う。
(勧められると言うか、やらされる?)
同じくらいの能力を持つピッチャーなら、右投げよりも左投げの方が重宝される傾向がある。そういう点では、右ピッチャーより左ピッチャーの方がプロ入りしやすい&1軍に上がりやすいかもしれない。
●ファーストは左投げが有利
おそらくは唯一、ファーストだけが「左投げが有利」とされる。その理由は「一塁ランナーにタッチしやすいから」である。
ファーストは、牽制球を貰う機会が多い。牽制によるアウトを成立させるには、ランナーにタッチする事になる。
つまりは「牽制アウト=タッチアウト」という事であり、一塁ランナーをタッチアウトにしやすいのは左投げの方。
通常の一塁牽制の場合、ファーストから見ると一塁ランナーは右にいる。右にいるランナーにタッチするには、右手にミットがある方がいい。
また、二塁(ファーストから見ると右側)に送球する際にも、左投げの方が有利である。
(一塁への送球は、ほぼ正面への送球が多い。自分でベースを踏む場合は送球の必要がない)
●キャッチャーは右投げの方がランナーにタッチしやすい
ファーストとは逆に、キャッチャーの場合は左手にミットがある方がいい。キャッチャーから見ると、ランナーは左から走って来るからだ。
送球が逸れた時などは「右手にミットがあればタッチアウトだったな」という事もあるが、多くの場合、左手にミットがあった方がタッチしやすい。
また、ほとんどのピッチャーは左投げのキャッチャーに慣れていないので、キャッチャーが左投げだと違和感を覚えるかも。
(右投げと左投げでは、サインを出す手が逆になり、ボールを捕る手も逆になる)
なお、左投げ用のキャッチャーミットは一般的ではなく、店に置いてある事は稀である。たいていは特注。
(売り切れてない限り、左投げ用のファーストミットは普通に売ってるはず)
●サードとショートは左に投げる事が多い
サードやショートは一塁や二塁に投げる機会が多いが、これは選手から見ると左の方にある塁。
(特殊な守備隊形の時は、この限りではない)
前述の通り、右投げは左に投げやすく、左投げは右に投げやすい。
左投げのサードやショートが正面のゴロを捕った場合、ファーストに投げる際には「体を左に捻って右足を一塁の方に向ける」という動作が必要になる。
(その後で、投げる際には「体を右に捻る」事になる)
※基本的な送球姿勢は、投げたい方向に「利き腕とは反対側の足(右投げであれば左足)」を向ける。
※ボールを投げる時、体は「利き腕とは反対側(右投げであれば左側)」に捻る。
右投げであれば、左足は最初から一塁側を向いているので、捕って投げればいいだけ。左投げだと「体を左に捻ってから右捻りで送球」と大変。
●セカンドは左投げでも……?
セカンドも一塁や二塁に投げる機会が多いが、一塁は左側で二塁は右側である。左にも右にも投げる機会が多いという珍しいポジションだ。
つまりは「一塁に投げる時は右投げが有利」「二塁に投げる時は左投げが有利」という事になる。
しかし、プロ野球でもメジャーリーグでも左投げのセカンドは見かけない。理由の1つとしては「元々はショートだった」というパターンが多いから。ショートは右投げの方が有利である。
他の理由は「6ー4ー3(ショート→セカンド→ファースト)」や「5-4ー3(サード→セカンド→ファースト)」のダブルプレーが成立しにくくなるため。
これらのダブルプレーだと、セカンドはショートやサード(右側にいる)からボールを受け取ってファースト(左側にいる)に投げる。左側に投げるので、右投げの方がいい。
セカンドが左投げだと、体の向きを変える動作が入って時間がかかり、バッターランナーが一塁に到達しやすくなる。結果、ダブルプレーを取りにくい。反対に、左投げだと二塁には投げやすいので、「4ー6ー3」のダブルプレーは成立しやすくなるはず。
総合的に判断すると、セカンドも右投げの方が有利である事が多いと思う。
●まとめ
・ピッチャー:右投げも左投げも必要
・キャッチャー:右投げの方がランナーにタッチしやすい
・ファースト:左投げの方がランナーにタッチしやすい
・セカンド:どちらかと言うと右投げの方が送球しやすい
・サード&ショート:右投げの方が送球しやすい
・外野:右投げでも左投げでも大差なし
※全員左投げでもルール的には何の問題もない
●とは言っても……
どのポジションでも、常に同じような体勢でボールを捕れるわけではない。
右に動いて捕る事もあれば、左に動いて捕る事もある。右の方に投げる事もあれば、左の方に投げる事もある。右投げが有利か左投げが有利かは、その時の体勢で変わって来る。また、どの塁に送球するかでも変わる。
ランナーにタッチする際も、ランナーの位置で有利・不利が変わる。ランナーに近い手にグローブがあった方がタッチしやすい。右投げが有利とされるポジションでも「左投げだったらアウトを取れたのに」という場面は間違いなくある。
どちらが有利かは、1プレーごとに変わると言っても過言ではない。
また、ショートのように左投げが不利とされるポジションでも、利き腕ではなく上手いかどうかが重要だと思う。下手な右投げより上手い左投げの方が失点が減るはず。
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