短編

@sakuhima

シャワー

シャワーを浴びていると、シャワーヘッドの穴に吸い込まれてしまいそうになる。

どうせなら、そこで倒れている妻を吸い込んでほしい。

そんな届かぬ願いをシャワーヘッドに願う。

急に馬鹿らしくなり、一人笑うが、虚しくなるだけだ。

妻の身体を触ってみる、冷たくなった身体が虚しさを加速させる。

どうしてこんなことになったかなど、考えても仕方がない。

妻の身体にお湯をかける、少しは温かくなっただろうか。

シャワーヘッドの穴から流れるお湯が、妻の身体をぬるく濡らした。


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