鋼鉄の雨

@taatyann

お前が殺れ

時は2500年、その日世界の国々が戦争に参加した。世界は600年前の悲劇をまた、繰り返すこととなる。

「ローガニスト国からミサイルが発射された、繰り返すミサイルが発射された」

警報が鳴り響いた。私はただ、その場に突っ伏しているだけであった。

兵士の急ぐ足音が聞こえる。

「くそ、どうなっている!」

「早く、急げ!」

「撃ち落とせ!!」

「ドン!」

爆音とともに発射されたミサイルはローガニスト国のミサイルには当たらず空中で爆破した。敵国の爆弾は基地を通り過ぎ本土に命中した。私は今の状況をよく理解できなかった。

「おい、何している!配置につけ!」

「くそ、なんでこんなことに!」

今日は朝から悪い夢をみた。

「どうした?ジャック、今日はご機嫌斜めか?」

「ハハハ、そりゃこんな土の上での目覚めは最悪だもんな!」

話しかけてきたのはジョニー、スラッシュの二人だった。

「そんなことはありません」

「お前、配属されて何年だ?」

風格のある人が聞いてきた。この人はここ第4部隊の隊長ローレンだ。

「今日が初任務です」

隊長は黙って深くため息をついた。

「で、隊長、今日の仕事は?」

「死体掃除だ」

ここで私はこのなめていた仕事がどれだけ残酷でむごくていかれているかを知る。「今日からお前の家だ」

大きな鋼鉄の塊、人の命をたやすく奪うことが可能な殺戮兵器。名はエンペラー。「お前が座る席はここだ」

指定された席に行くと、そこには人間とは思えない死体があった。

「運が尽きたんだよ」

隊長はそう言うなり私の顔を見た。

私は今日食べた朝飯が腹から口に戻るのを感じた。抑えきれずに外に戻りげぼを吐く。

「新人にきつかったか!だが今日はこの死体の何千倍もイカレタやつを見ることになるぞ!」

「ドゴーン!!!!!!」

その瞬間私はひどいものを見た。兵士が燃えて悶え苦しんでいた。近くでは同じ仲間の兵士たちがまるでおもちゃを壊された子供のように泣いていた。足と手がバラバラになった兵士、首だけがない兵士。そんな、この世のものとは思えない光景を私はただただ見ていた。まだ兵士は燃えて苦しんでいた。その瞬間隊長が肩を叩いた。

「分かるか?これが戦争のむごさだ。お前が死なせてやれ」

「どういうことですか!?」

「お前があいつの頭をこの銃で撃ち抜け」

「出来ません!同志を撃つなんて・・・」

「お前が殺れ」

「出来ません!」

「殺れと言っているんだ!!」

「あああぁぁぁ!!!!」

「ドン!!!」

これが、私の初めての殺しだった」

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