***

 みぃつけた。


 誰かが呟く。獲物を見つけた歓びを噛み締めながら。


 なるほどね。お前が隠してたのか。


 全てを悟る彼女は、何を企む?


 それでも血を飲んでないのか、健気だねぇ。


 彼女はにやりと笑う。これから起こる楽しいパーティーを想像して。


 さ。サクッと攫っていっちゃおか。


 彼女は跳躍する。甘い香りの元へ。それは吸血鬼にとって、最高の果実。


「はじめまして、最高のニンゲン。今からお前を攫いに来た。なぁに。手荒な真似はしねぇよ。……大人しく来るならな」


 こうして平和な日常は、途切れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

紅い月の満ちる夜に。 空唄 結。 @kara_uta_musubi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ