第3話 詰み
さて、大陸中央の森はどんな感じかなと辺りを見渡す。
「村じゃん」
狭い通路に立ち並ぶ家々、炊煙であろう煙りも立ち上がっている家もある。
「神々の情報ってどうなってるんだ?もしかして物凄く古いのか?」
本来なら散々滅んだダンジョンの跡地のはずが実際は小さいながらも人が住んでるであろう村。
これは候補地選びからやり直しかと頭を抱えていると第一村民発見。
「おお、エルフか?」
特徴的な穂笹耳に細いシルエット、ファンタジーの醍醐味だね。
「っくそ・・・」
ちょくちょく来る頭痛、どうやら創造主様の銀の盆も生まれたての自分も相当なポンコツらしい。
「今度はダークエルフに・・・ドワーフか」
よくある設定としてはエルフとドワーフは仲が悪かったり、エルフとダークエルフは敵対してたりするけどこの世界じゃ仲良くしてるのか。
「・・・痛っ・・・つつつ」
原因はわからないが再度の頭痛、強烈なそれに思わずしゃがみ込んでしまう。
「だめだ、調査も何もあったもんじゃない」
一度神の間に戻ろうかと顔を上げると、いつのまにか周りに人だかり、わかりやすく言えば囲まれている。しかも手には斧やら弓やらの武器満載。
急いで転移せねばと意識した瞬間に声が掛かる。
「動くな!」
声のする方を向けば屋根の上、あ、ダメだこれ完全に包囲されてる。
「こんにちは~」
なんて言いつつ両手を上げる。
よし、今の内に。
「転・・・いいいいいいぃぃ!」
できなかった。
転移を発動しようとした瞬間両脚に強烈な痛み、両方の太ももに矢が1本ずつ。
立っていられなくて四つん這いの格好になる。
撃たれた。躊躇いなく撃たれた。
「魔法使おうとしたでしょ」
片方の脚を撃ったであろうエルフの女性から声が掛かる。
魔法じゃなくてスキルだけど。
矢を更につがえてる。
はいはい、確かに魔法っぽいことしようとしましたよ。
「杖を離して」
・・・それは無理だ。
「えっと・・・それは・・・っ痛ってぇぇ!」
「杖を離せと言っている」
今度は左肩に、撃ったのはダークエルフの女性。
クソッ、問答無用かよ、てかダークエルフめ、肩もだけど脚もお前だろ、この黒い矢羽の矢。
・・・終わったわ。詰んだ。
日帰りダンマス~ダンジョン経営が余りにも面倒なので全部部下に任せる事にした~ 小幡ユージ @rochina
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