神無月
fare
1.新月
秋の夜長。街灯に照らされる、路地裏を歩く人影があった。
衣替えの季節だろうか。まだ蒸し暑いにも拘わらず学ランを手に携えて駅へと向かう。塾帰りの高校生だ。勉強の疲れか、どことなく足取りが重くみえる。
その人影は、信号で立ち止まり、ため息を吐く。
それがどういった気持ちから出たものなのか、彼以外には知る由もない。人間関係からか、はたまた勉強疲れからか。
ただ彼が上を向いて歩けるような心持ちではないことだけは確かだろう。
だから彼は気付かなかった。この日が新月の日であったことを。
神無月 fare @freehobbyacc
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