エピローグ closed.




 三人は、廃ホテルの前に立っていた。

 夢の中でおさらばした場所に、三人は帰ってきたのだ。

 もちろん、現実だ。

 終電まで時間がないから、あまり長居は出来ない。思いつきで京都まできたものだから泊まるあてもなく、すぐにまた現実へ、日常の世界へ帰らなければならない。


 その前に、ケジメをつけようと戻ってきた。


 どうするかは決めている。

 三人は廃墟の入口に並び、同時に頭を下げた。



「「「すみませんでした!!」」」




               * * *




 悪夢は終わった。


 ……はずだった。


「なんで俺たち……」


 気付けば、ユウキはホテルの入口に立っていた。

 夢の中でおさらばしたはずの、あの場所に。

 ただし、その扉は閉じている。


 だが。


「なんか、増えてねえか……?」


 頭上を見上げていたタカラが、それに真っ先に気付いた。

 四階建てだったはずの廃墟に変化があるのだ。


 そして。


「おい、あれを見ろ……」


 メージンが指差す先、ホテルの扉に看板が吊るされていた。



『準備中です☆』



 少年たちの悪夢は、まだまだ終わらない。



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イン・ザ・ナイトメア 人生 @hitoiki

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