第2話

俺の母親は、いわゆる「拝み屋」と呼ばれる家系の一人娘で、祖母ほどの力はないものの、それなりのものを持っていた。


母は俺の顔を長い間見つめていたが、やがて言った。


「これは呪いだね。それもけっこう強力なやつ」


「呪い! いったい誰がそんなことを?」


「そこまでは残念だけどわからないわね。……ちょっと待ってなさい」


母は奥に引っ込んだ。


そしてしばらくすると、何かを持ってきた。


それは年季の入った小さな丸い鏡だった。


「これは……」


「呪詛返しの鏡だよ。これで呪いをはね返して、呪った相手にぶつけるのさ。お前の話を聞く限り、相手はおそらく毎日呪いをかけているだろうね。それをまとめていっぺんに、お返しするんだよ」


母は息子である俺が一度も見たことのないような顔で、にまりと笑った。


肌身離さず持つように言われ、俺はそれを持って家に帰った。



次の日、嫁が死んだ。



     終

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呪詛返し ツヨシ @kunkunkonkon

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