お天気カンバン
羽根守
お天気カンバン
今日のカンバンは晴れマークだった。天気も晴れだった。
昨日のカンバンは曇りマークだった。天気も曇りだった。
一昨日のカンバンは思い出せないが、カンバンが知らせたとおりの天気だったと覚えている。
ついでにそのカンバンには最高気温と最低気温、さらには湿度や注意報までご丁寧に書いてあった。
黒板で手書きチョークで書かれたそのカンバンは『お天気カンバン』と呼ばれるようになった。
ここでふしぎがある。お天気カンバンを出している店は雑貨屋さんなのだ。
ふしぎに思ったワタシはこの店の店主に聞いてみた。
「このカンバンを見てくれたお客さんは足を止めてくれるんですよ」
なるほど、確かに足を止めてしまう。たいていのカンバンは立ち止まらず、無視するのに。
「明日の天気は雨ですね。どうですか? 傘、のぞいていきませんか? 前もって用意しとけば、曇った気持ちなく晴れやかな気分で明日を迎えられます。勿論、かさ張らない折り畳み傘も用意していますよ」
お天気カンバンを大切にしていたひょうきんな店主は商売うまくて勝てん気がした。
お天気カンバン 羽根守 @haneguardian
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます