格闘ゲームの門を叩く


 格闘ゲーム。
 何も知らない人からすれば、赤い鉢巻、白い道着を着て「俺より強い奴に会いに行く」と喋る男が有名ではないだろうか。
 波動拳のポーズについては真似た人も少なくないと思われる。

 だが、実際に格ゲーをやっている人物となると、かなり絞られるはずだ。
 手を付けた直後では、ろくに技のコマンドすらも入力できないだろう。CPU戦ならガチャガチャである程度はいける(そう調整されている)だろうが、対人戦となれば、友達や家族とでもなければ、闘う地点にすら到達させてもらえない。
 辛うじて技のコマンドを覚えても、連続技、システムの利用方法、キャラクタ毎の性質の理解など、覚えることは尽きない。
 最終的にはフレーム(60分の1秒)の領域まで視野に入れなくてはならない。
 面白く遊べるまでには時間がかかり、そして、その先も長く険しい道がずっと続いている。その性質故に、格闘ゲームは「敷居が高い沼」と称されている。
 では。その格ゲーの沼にはまりこむ人は何を見ているのだろうか。

 前置きが長くなってしまったが、この作品はそんな疑問を、導入……興味を持つところから丁寧に描いている。
 一時期、大学の同級生間で格ゲーが流行り、その中でグロッキーになった経験を持つ私としては、その動向に深い興味を抱いている。続きが気になる作品だ。