7ー完.異世界へようこそ

 そこはまるで摩天楼。並ぶ建物すべては天高くそびえ建ち、地上は人で溢れかえっていた。そのうえ人間しかおらず、亜人の類は見当たらない。

 綺麗に舗装された道には鉄の馬車が独りでに走っていた。

 カルーラに初めて訪れた時も驚いたが今回はその比でない。人間とは本当に驚くと声など出ないのだと知った。

 キョロキョロと周囲を見回す、わたし達に案内役――ガイドと呼ばれる男性はこの世界には人間以外の人種ひとしゅは居ないと話していた。

 本当に人間だけでここまでの文明を築いたと言うのか。魔法に長けたエルフ、造形に深いドワーフ等々、互いに劣る部分を補いながら、文明を発展させてきたのがわたし達の世界だ。


 異世界とはどこかしら異なる箇所があるから「異」と言う言葉が使われているのだ。その点でこの世界はわたし達の世界と異なるところだらけだ。

 胸が高鳴る。未知との遭遇とは如何様なものか。

 それはきっと――楽しいものだ。


 井戸に飛び込んできたであろう今回のツアー参加者も続々と異世界へとやってきて感嘆の声を漏らす。中には涙ぐむ人までいた。


「全員、そろった」

「ご苦労さん」


 最後に到着した女性に労いの言葉を男性ガイドが掛ける。


「あ・り・が・と❤」


 一音一音はっきりとした言葉には妙な色気があった。


 あれ? ハナ!?

 雰囲気は少し違うけどハナに違いなかった。


「ハナ~」

「ハナってコレくれた子?」

 袖を引っ張るミサがチケットを振りながら訪ねる。

 わたしが頷くと、「それじゃ、お礼言わなきゃね」と彼女の下までわたしを連れて行こうと引っ張った。彼女に辿りつく前にパンパンと大きな音が鳴らされた。


 手を叩き注目を集めながらガイドの男性とハナが全員の前に立つ。

「「ようこそ! 異世界へ!!」」

 息ピッタリの二人の声と共に拍手が起こった。


 …………

 ……

 …


 異世界を廻る道中、ハナに訊ねてみた。

「何でここにいるの?」

 彼女はばつの悪そうな顔で答えた。

「部活でね」と。

「ブカツ?」

「うん。部活でね。ペナルティー喰らっちゃって、ボランティアだよボランティア――タダ働きだよ」

 やれやれと肩を竦めて見せるハナ。

 男性ガイドが殺意の籠った眼でハナをガン見していた。


 わたしには、異世界以上に彼女の――ハナの事が判らなかった――まさにその存在こそが未知そのものだった。



 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

※部活で普通に元居た世界に戻っちゃった。設定作っちゃったけど、どうしようこれ……扱いに困るねw


次話から新しい話でーす。がらっと場面が変わります。

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異世界教室~異世界転生しても学校には通っていただきます~ 小暮悠斗 @romance

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