魔女りんの童話の旅

@sakunyao

第1話


私の名前は山田りん。






突然ですが、





魔女をすることになりました。



「ええええぇぇ⁉︎」


「ちょっと、驚き過ぎですわ」


「え、で、でも、ああああたしがまじょお⁉︎」


「何度もそう言っているじゃありませんの」


「えぇぇ…」


「貴方には魔女の素質があるのです。是非魔女になってくださいませ」


「急にそんな事言われても…」


なんか本とかで読んだ事ある展開だなぁ。


「大丈夫ですわ。私(わたくし)の家系は代々魔女に仕えていましたの。そんな私があなたのパートナーなんですから、安心してくださいませ」


その自信は一体どこから来るんですか…。




「さぁて、出発ですわ!」


「え、ちょっ」


まだokとか言ってませんけど!?


「さっさとほうきに乗って!遅れてしまいますわ!」


「へ!?ひゃあ!」


私は急に浮いたかと思うと、次の瞬間には、ほうきに乗っていた。


この白猫の疲れたような顔から、コイツがやったんだと分かった。


「いきますわよ!マジカルランドへgo!」


言い終わるか言い終わらないかの内に、私達は全然知らない世界に来ていた。


「ここは…?」


私がスカートについた砂をはたきながら聞くと、さっきの白猫はそこにはいなかった。


「え?ちょっと!連れてくるだけしといて、放っておくつもり!?」


一体何なんですか、もう…。


急に「魔女の素質がある」と言われたかと思えば、ワープしてるし…。


早く帰りた~い。




「ようこそ、マジカルランドへ」


私が色々考えていたら、なんかお出迎えっぽい人達(猫たち?)がやって来た。


「初めての事ばかりで不安がいっぱいでしょう。これを見てくださいまし」


「何それ…?」


1番偉そうな猫が私に差し出したソレは、どこからどうみても、お年寄りが使うような杖だったけど、飾りなどがついていたので違和感を感じた。


「これは魔法の杖(ロッド)でございます。これから魔女の修行をしていく上で必要なものとなりましょう」


「あの、魔女って…私まだよく分かってないんですけど…」


「あぁ、説明が抜けていましたな。ご安心くださいませ。今から説明しましょう」


この自信たっぷりな感じ…あの白猫に似てる、すごく。


「貴方は、この度のマジカルランドでの抽選で、次世代の魔女に選ばれたのじゃ」


急に話し方が変わった…。


「え、でもお母さんとお父さんは一般人よ?私は魔女の資格なんか」


「しゃらっぷす!」


しゃらっぷす…?シャラップて言いたいのか、この猫?

まぁ、今ここにいる猫たちの中で1番年寄りっぽいしなぁ、そんな言い方にもなるか。


「最近は、こちらの世界でも、少子化が進んでいるんじゃ。そんな中、魔法使いの子孫を増やす為に、毎年素質を持った人間達を抽選しているのじゃよ」


「……」


「つ・ま・りじゃ!」


ウォッホン、と咳払いをする。


「貴方はそれに選ばれた、極めて幸運なお方なのじゃ!」


最初はお堅い感じで話していたのにすぐに地が出てきたな。

なんか、こう…お爺さんみたいな話し方。

まぁ、それはどうでもいいか。


「あの…私魔法とか全然使えないし」


そもそも魔女ってめっちゃ珍しいよね。


「それなら大丈夫じゃ!ここには魔法学校もある。存分に特訓できるぞ!」


まぁ、使えるなら使ってみたいな、魔法。


すると、さっきまで後ろの方にいた、ほっそりとした黒猫がサッと前に出てきた。


「長老さま、この者のおチカラをみせていただいたらどうでしょうか。入るかどうかを決めるのはその後でも…」


「おぉ、そうじゃな。ないすあいであじゃ。さぁ、りんさんよ。今からワシがかく魔法陣の上に立って、この本に書かれている呪文をどれでもいいから、唱えてみてくだされ」


そして私にその本を渡すと、長老と呼ばれていた猫は、私の足元に大きな魔法陣を描いた。


「さ、やってみてくだされ」


ゴクリ。


最初は乗り気じゃなかったけど…。


魔法が使えたりしたら結構かっこいいんじゃないか!?


そしたらモテるかなぁ。



えへへへへへ。



ようし。


私は本をパラパラと捲り、適当なところで止めた。


「マジカル・ミラクル!リンゴルの魔法、マジカルアップ!」


私がそれを言い終わるか言い終わらないかのうちに、そこに生えていたりんごの木に、物凄い勢いで、りんごが増えていった。


「長老、これは…!」


「あぁ、間違いない。この人間はとてつもないチカラを秘めておる…このリンゴ魔法のチカラがあれば、今崩壊寸前の童話の世界を救えるかもしれん」

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