おまけ(丘のきんぎょ)

壁にもたれかかった二人。

カオルはナッツンに抱きしめられながら、丘のきんぎょの話をしてる。

(カ はカオル ナはナッツンです)


カ「こうしてパッチの入った鉢は金魚鉢と呼ばれるようになりしたとさ」

ナ「うんうん、良かったね。パッチは戻れて良かったね。ちゃんとありがとう     も言えてるしね」

カ「そうなの、パッチはみんなの力を借りてちゃんと戻れて、ありがとうも      しっかりと伝えられたんだよ」


ナ「ところでカオルさ」

カ「なに? ナッツン」

ナ「おとぎ話って何か教訓めいたものとかさ、物の言われとかが込められたり     するじゃない。伝承って言うのかな」

カ「そうだよ。だから金魚鉢の言われを……」

ナ「一応確認するけどさ、パッチの名前の由来って何?」

カ「そりゃあお目目がパチクリしているからパッチだよ」

ナ「金魚鉢の鉢から来てるわけじゃないよね」

カ「まさか、鉢をハチにして、パッチ? うんうん、考えられるけど違うっ      て、私そんなにオヤジギャクみたいなこと言わないよ」

ナ「本当? じゃあどら焼きネタでも言わない?」

カ「なんでここでどら焼き出てくるの? 今は丘のきんぎょの話をしてるんだ     よ。今は関係ないじゃん」

ナ「そんなに口を尖らせないでよ」

カ「ナッツンがいじめてくる」

ナ「もう、イジメてないって」


ナ「それとさ、あんまりピンチって感じの話じゃないよね」

カ「え? しっかりピンチだよ」

ナ「しっかりピンチって何www?」

カ「そんな突っかからないでよ」

ナ「カオルはね、優しいお話書くんだなって」

カ「うんうん、優しいお話の方が好きかな」

ナ「それはカオルが優しいから?」

カ「うんうん、そうだよ。私って優しいでしょ。だからイジメないでね」

ナ「イジメてないってー。そうやって言ってるカオルの方がイジメっ子だからね」

カ「えー。こんなにぎゅっとさせてあげてるのに?」

ナ「そういうのがイジメっ子なのー」


カ「ナッツン、ちょっとくすぐったって」

ナ「もう逃げないでよ」

カ「あーもう、逃げる逃げる」

ナ「だめー。カオル逃げちゃダメだって。ほら、ぎゅって」

カ「もうー。それじゃあ逃げられないじゃない」

ナ「えへへ。つかまえたー」

カ「ナッツン、初めからつかまえてるじゃない」


ナ「こうしてるとさ」

カ「何?」

ナ「キスし放題だよね」

カ「え?」

ナ「ほら、チュッ」

カ「首筋とかにキスしてるの?」

ナ「そ、一方的なキス」

カ「ちょっと、あ、もうー、私からは何もできないじゃない。やっぱ逃げるー」

ナ「キスいらないの? もうしょうがないなぁ」

カ「あ、今度はほっぺ」

ナ「こっちの方が良いんでしょ? それにこうすればキスできるよ」

カ「ナッツンがしたいだけでしょ?」

ナ「カオルがしたそうな顔していたからね」

カ「そういうこと言うからやっぱ逃げるー」

ナ「そんな簡単には逃がさないんだからね、っちゅ」

カ「んー、これじゃあ逃げられないー」

ナ「ふふ、キスし放題。マーキングしとこうかなー」

カ「え? ちょっと待って、どこにつけるの?」

ナ「ふふ、私にしか見えないマーキング」

カ「え? ちょっと待ってー。もうー。えい!」

ナ「あー! そんな逃げないでよ」


カ「逃げてないよ。ほら交代、今度はナッツンが抱かれて下さい」

ナ「えー。まだ途中なのに」

カ「ほらほら、こっちこないと抱きしめられないじゃん」

ナ「もうー……、ちゃんとぎゅってしてね。しっかりぎゅってしてね」

カ「ふふ、ナッツンかわいい、ちゅっ」

ナ「あ、くすぐったいって」

カ「ナッツンだけなんてずるいからね。キスだくだよ」

ナ「何それ?」

カ「つゆだくみたいな?」

ナ「なんかカオルおっさんくさいー」

カ「えー! ダメかな? キスだく」

ナ「駄目じゃないけど……、もっとかわいいの考えといてね」

カ「どら焼きのドット柄とか?」

ナ「何それ?」

カ「ほら、キスマークの後ってどら焼きを横から見た感じに似てるじゃない」

ナ「そうかもしれないけど」

カ「それがいっぱい並んでるから、それにナッツン美味しそうだし」

ナ「どら焼きとどっちが美味しい?」

カ「もうー、ナッツン面倒くさいー」

ナ「えー! 即答してくれないの?」

カ「これだけキスしてるのにダメなの?」

ナ「ちゃんと言ってくれなきゃイヤ」

カ「カブッ!」

ナ「え? 噛みつかれた?」

カ「ナッツンをどら焼きにして私が食べちゃった音」

ナ「えー! 私食べられちゃったの?」

カ「そ、聞き分けの無い子は食べちゃうの。こんなにナッツンのこと抱きしめて、キ スしてるのに。そう言うことを言う子を食べちゃうの」

ナ「それでどら焼き?」

カ「そう、どら焼きマークをいっぱいつけて最後にナッツンは甘くてフワフワなどら 焼きになっちゃうの」

ナ「それでカオルに食べられちゃうの?」

カ「そう、美味しくいただいちゃうの」

ナ「食べたら抱きしめられなくなっちゃうよ?」

カ「大丈夫、今しっかり抱きしめてるから(ナッツンが一番好きだよ)」

ナ「何か言った?」

カ「言って無いよー」

ナ「あーもうずるいー」


カ「ナッツン、体温高いね」

ナ「カオルの手が冷たいんだよ」

カ「知ってる? 手が冷たい人ってココロが温かいんだよ」

ナ「そうなの? じゃあカオルより温かい私は?」

カ「ナッツンも優しいよ。こんなにぎゅっとしていてくれてるし」

ナ「カオルが冷たくて抱きしめてると気持ちいいの」

カ「え? 私って水枕みたいな何か?」

ナ「どちらかというと冷えピタかなぁ。冷えピタ成分にスリスリスリ……」


カ「ナッツンは優しいね」

ナ「今頃気付いた?」

カ「前から知ってたよ。あー。ナッツン気持ちいい」

ナ「あー。くすぐったい。カオルはこれで満足なの?」

カ「そうだよ、柔らかいナッツンを抱きしめてキスし放題。ナッツンを抱きしめてこ んなに温かいのに不満なんてあると思う?」

ナ「こうしていると何時間でもいられそう」

カ「うん、そうだね」


ナ「ねぇ、カオル。パッチはまたヌッシーに会いに行ったのかな?」

カ「行ったよ。今度は迷わないもんね。でも広い池の中でヌッシーを探すのは大変な  んだ。みんなに聞きに行ってヌッシー知らない?ってね」

ナ「今度はそのお話聞かせてよ」

カ「そうだね~。それは今度ね」

ナ「えー。じゃあ他には無いの?」

カ「そうだなぁ……、パッチ都会に出るとか?」

ナ「え? ほのぼのした舞台から都会デビューしちゃうの?」

カ「ほんとはね、パッチはお空を飛んだりしてね。鳥にさらわれたり、潜り込んだ場  所が水族館行きだったりで、色んな所を回って最後に恋人の所に……みたいな話  にしようとしたんだけど」

ナ「したんだけど?」

カ「ほらニャッキみたいな感じになっちゃったなって思って」

ナ「あー、ニャッキっていろんなところ行くよね」

カ「うん、だからちょっと変えたの」

ナ「そっちの話も聞きたいなぁ」

カ「ナッツン、それはまた今度ね」


ナ「えー、カオル他の話も持ってるでしょ」

カ「えーと、お砂糖博士の秘密の国とか」

ナ「どんなお話?」

カ「お砂糖から何でも作っちゃう博士がいたの。始めは甘いものいっぱい作ってコッ  ソリ街中に売りに行ったりしていたんだけど、ある日見つかっちゃうの。そして  コショウの好きな王様が来てお砂糖からコショウを作るように言われちゃうの」

ナ「えー! お砂糖からコショウ?」

カ「そうそう、甘いのが好きで作ってたのにコショウ作らされてお砂糖博士のおうち  がどんどんスパイシーになって行っちゃって……」

ナ「それで? それでどうなっちゃうの?

カ「そっから先はまだノープラン」

ナ「ちょっと気になるなー」


ナ「他には?」

カ「それじゃあ微エロなあんことか」

ナ「全然童話じゃない!」

カ「どら焼きの皮をめくると恥ずかしがっているアンコがいてね」

ナ「それで?」

カ「それはキスだくにされたナッツンなの」

ナ「私? 私はどうしてるの?」

カ「ナッツンは甘くてテロテロだからとっても美味しそうで。思わずぎゅって」

ナ「この後はどうなっちゃうの?」

カ「ベッドインかな?」

ナ「まだ昼間だけど」

カ「晩御飯食べてないね」

ナ「お腹空いたの?」

カ「ナッツンを食べ続けてもいいけど、お腹空いちゃうから」

ナ「カオルは急に戻っちゃうもんなぁ」

カ「甘いあんこにもいつか終わりがあるから」

ナ「ちょっとカッコいい事言ってるつもり?」

カ「甘いお話をしているつもり」


カ「ナッツンは何が食べたい?」

ナ「カオル」

カ「もうそれは食べたでしょ。あんまり食べちゃうと無くなっちゃうからね」

ナ「えー! それは困る」

カ「よしよし、また明日あげるからね」

ナ「なんかワンコ扱いされてる気分」

カ「ナッツン可愛い……」

ナ「なんだかうれしいのやら、フクザツー」

カ「もうー、それはいいから何食べる?」

ナ「ポトフがいいな」

カ「いいね、キャベツもウィンナーもいっぱい入れよう」

ナ「うん、ジャガイモとかもいいよね。デザートは?」

カ「どら焼きで」

ナ「ちゃんとしたどら焼きだよね?」

カ「何想像したの?」

ナ「早く用意して買い物に行こ」


「キスマークつけたままで?」

「え!?」


 続く……??

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微エロなあんこ 空音ココロ @HeartSatellite

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