第60話 語らい

静かな時が過ぎていく。

君は多くの言葉を語り、僕は聞いている。

川の音や、鳥のさえずり、風に揺れる木々のささやき、

そんな風に君の言葉は、僕を包んでくれている。

だから、君はちょっと不満そうに「ねえ、聞いてるの」と言う。

「聞いてるよ」

と答える僕。

君は「じゃあ、何の話をしていたか言ってよ」とは言わない。

もう次の話題に移っている。

それがいい。

僕は助かっている。

言葉ばかりではない。

よく気のつく君は、僕の先回りして何でも出してくれる。

僕がびっくりすると、面白そうに笑う。

僕を驚かして、楽しんでる。

そんな君にも、僕は救われている。

こんな時間がいつまでも続くといいなあ。

僕に残された時間は、君ほどは多くないけど、

君にも精一杯、楽しんでほしい。

贅沢な想い

身勝手かもしれない。

今の僕にできることは、君の話を聞くことと、

君の笑顔を見ること。

君はどうだろう。

いつか話してほしいな。

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草紙 茶和咲 惇 @37367

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